- アラムコは、サウジアラビア国内のイノベーターや起業家を支援する専用の施設であるLAB7と呼ばれる意欲的な新プロジェクトを開発中
- 画期的なアイデアを持ちながらもその実現に必要な技術や設備を持たない応募者には、プロジェクトを実現するための必要な支援を提供
- サステナブルな社会の発展を促すための効率的な解決策を見出すという、アラムコのコミットメントに沿った取り組み
80年以上前に発見されたアラムコ初の商用油井から名付けられたLAB7は、21世紀のデジタル・テクニカル分野を切り開く起業家たちのビジョンの実現を後押し
紙の発明からインターネットの到来までには約2千年の隔たりがあります。車輪の発明から世界初の自動車の発明に至っては5千年余の開きがあります。これらの画期的な発明は、その時代の社会に大きな影響を与え、人々の生活や行動に変革をもたらしました。それはまた、今も昔も人類が発展を追及し続ける存在であることを明確に示した事例でもあります。しかし、技術進歩に伴い社会のニーズが進化するように、イノベーターのニーズも変化しています。
これまでの歴史を見ても、イノベーションを起こす能力は人類ならではの特徴でした。しかし、急速に進化し続ける今日、人工知能(AI)や再生可能エネルギーなど様々な可能性を秘めた新たな時代が幕を開けました。そこでアラムコが打ち出した意欲的な新プロジェクト、LAB7は、今日のイノベーターの活躍を支え、未来のソリューション創出を後押しします。
LAB7は、サウジアラビア初の商用油井であるダンマン第7井から名付けられました。この製品開発イニシアティブは、21世紀のパイオニアたちのビジョンを実現させるべく、プラットフォームを提供して革新的なアイデアの着想から完成までを支援します。サウジアラビアのダーランに建設中の専用施設では、LAB7プログラムへの参加が認められたプロジェクトに対し、技術面、生産面で必要なすべてのサポートを行い、さらにその商業的可能性を広げていくため、事業開発指導も行います。
「イノベーションの新時代が幕を開け、アラムコは社内そしてサウジアラビア全土において、繁栄を促進し、可能性を育て、最新技術の採用を進めるべく努力しています。LAB7は、最新技術の開発を支援することで、オペレーション効率を改善し、生産性を高め、サステナビリティを向上させます」
アハマド・アルサーディ、アラムコ技術サービス担当シニア・バイスプレジデント
最新設備を誇るLAB7は、2021年10月に完成予定です。施設内には、年中24時間利用可能な専用ワークショップがあり、19のプロジェクトと最大300名のイノベーターを一度に収容できます。ただし、施設を利用できるプロジェクトは、今日の世界的重要課題への取り組みとして、エネルギーとサステナビリティ、先進的な製造、デジタルトランスフォーメーションの3分野のいずれかであることが求められます。これは、サステナブルな社会の発展に向け、効率的な解決策を見出すことを目指すアラムコのコミットメントに沿った取り組みです。合格者には、アラムコのパートナーとして、プロジェクトの資金全額補助の資格が与えられます。独立した立場でコンセプトを開発したい場合は、定額の使用料で各施設を利用することも可能です。
そのいずれの場合も、アラムコの優秀なサポートスタッフたちが必要に応じて技術的な専門知識を提供し、その幅広いノウハウを活用して、イノベーション・バリューチェーンにおいて経験が不足している部分を補完します。つまり、アイデアが認められた合格者は、その実現に必要な技術や設備を持たなくても、プロジェクトを実現し、商品化して市場に出すまでに必要な支援が受けられるのです。プロトタイプ作成のための最先端設備を備えた2棟の製造施設は、自動化製造や電子機器開発、非金属成形など、製品開発に無限の可能性を与えます。一方、施設内のアラムコのサポートスタッフにとっても、このインキュベーターとしての実体験から得るものも多く、その後自らの専門分野で活かせる新たなスキルを身につけることができます。
LAB7は、サウジアラビアの創造の源であるアブドゥルアジーズ王世界文化センター(Ithra)の隣に位置し、私たちを取り巻く世界を再定義するイノベーションの流れに乗っています。隣接するグリーン・イノベーションパークは、人工知能や機械学習を活用したグリーン・テクノロジーを展示する場となっており、自然に調和し、CO2排出量を削減し、再生可能エネルギーを最大限利用するなど様々な取り組みを行っています。例えば、炭素吸収林は有機藻類を利用した先端バイオテクノロジーで、樹木よりも高い効率で空気を清浄化し、汚染物質を低減します。また円錐型の風力タービンに付いた葉型のブレードがわずかな風も捉えて発電する人工樹木もあります。
LAB7施設の建設では、自社開発の「INGINE8」というスマート管理システムや非金属素材など、様々な最先端機能を採用しています。廃棄タイヤから回収したゴムで作られた高耐久性アスファルトで舗装した道路や、コラボレーションを促すオープンスペースが特徴的な建築設計など、今後さらにアップグレードしていくテクノロジーの進化を見据え、柔軟性のあるシステムとなっています。
INGINE8の各機能は、安全性、拡張性、創造性を高め、イノベーションと成長促進を目指すLAB7を支えます。その機能の一つがPower over Ethernet(PoE)照明技術を活用したスマート火災避難システムで、火災発生時にそのエリアを遮断し、施設内の人々を一番近い安全な出口へと視覚的に誘導します。また、出入管理機能は、施設の先進システムを活用して、イノベーターが24時間いつでも施設の各リソースにシームレスにアクセスできる環境を実現します。
またイノベーターの作業効率向上を図るため、カスタマイズ機能として、ワークスペースのアンビエント(周囲環境)照明や室温の自動調節、タスクのスケジューリングやショップ、ツールの予約を素早く行える機能などがあります。その他様々な機能によって、ユーザーの技能を向上させ、イノベーターの創造性を高めて潜在的能力を十分に発揮させる最高の環境を提供します。
LAB7は、アラムコの文化に深く根差したイノベーション精神と、人間の可能性をさらに高めるというコミットメントに沿ったものです。サウジアラビア全土で展開する当社の様々なプログラムは、地域経済やコミュニティーの発展を支援し、人々がさらに飛躍できるよう後押ししています。アラムコは今後もこうした取り組みを通じて、地域の未来に役立つソリューションを生み出す人々を支援し、常に変化する世界で成功していくためのツールを提供していきます。アラムコが目指すのは、テクノロジーとイマジネーションを活かしたイノベーション文化を醸成することであり、これこそがLAB7の根幹となる理念です。
LAB7の大きなビジョンは、イノベーション・エコシステムを拡充し、次世代の起業家たちを支える環境を作り、発展させていくことです。こうした取り組みを通じて、サウジアラビア国内の土壌を醸成し、質の高い雇用を創出し、イノベーションとテクノロジーによる知識ベースの経済の成長を促していくことが、国内の発展へとつながるのです。それらを実現するべく、LAB7の活動を補完する様々な取組みが計画されています。例えば、フリーランス向けのオンラインポータルや、年次開催の産業イノベーション国際サミットなどです。
アラムコは、80年以上前に石油の生産を開始してから今日に至るまで、エネルギー業界をリードするイノベーターとしての地位を確立してきました。それは、専門分野に特化した研究センターや、第四次産業革命(4IR)技術の適用、デジタルトランスフォーメーションプロジェクトなど、当社の事業すべてにおいて明らかです。LAB7は、このエキサイティングな道のりの新たなステップです。アラムコは、単に道を示すのではなく、イノベーションに冒険心を持つことで他者を駆り立てます。そうすることで、新たな繁栄の時代へとつながっていくのです。