デジタライゼーション

技術開発

デジタル・トランスフォーメーション・プログラムを通じて革新的デジタルテクノロジーを活用し、より効率的、安全、サステナブルなエネルギー供給を目指します。


デジタル・トランスフォーメーションとは

世界は今、物理的領域とデジタル領域そして生物学的領域との境界を曖昧にする技術的進歩の波がかつてないほど急激に押し寄せてきています。第4次産業革命(4IR)と呼ばれるこの潮流は、クラウドコンピューティングやモバイルコネクティビティから人工知能(AI)、ビッグデータまで、私たちの日常をあらゆる面から形成しています。

ビジネスの世界では、機械など物理的アセットをデジタルシステムに接続することで、正確な情報やリアルタイムの問題対応、効率改善などが可能になります。しかし、デジタル化が真の効果を発揮するためには、ビジネス全体に統合されていなければなりません。これは石油・ガス産業も例外ではありません。完全なデジタル・トランスフォーメーションこそが、私たちの世界へ向けたエネルギー供給のあり方を大きく変えるのです。


石油・ガス産業界の未来とは

石油・ガスは、1世紀余りにわたり、世界経済変革の中心的役割を担ってきました。しかしこの業界は今、新たな時代を迎えています。デジタル・トランスフォーメーションは、業務効率と職場の安全性を高めるとともに、業界による環境への負担を軽減させます。

石油・ガス業界における新たな技術をいくつかご紹介しましょう。

石油・ガス業界における新たな技術

ビッグデータ分析
複雑かつリアルタイムの情報を提供します。例えば、CO2貯留の改善や油層管理のためのデータ・モデリング、生産量予測などに活用できます。
産業用モノのインターネット (IIoT)
データと機器が通信する、相互に関連したコンピューティングデバイス、機械、人のシステムです。石油・ガス産業においては、IIoTセンサーが油井からデータを収集し、ビッグデータやAIも駆使して瞬時に情報や解決策を提供します。
ロボットとドローン
より安全で効率的な検査を実現する技術です。漏れを早期に検知し、空中マッピング、水中溶接、環境モニタリングをサポートするほか、アクセスが困難な場所にある沖合リグやパイプラインなどの設備を検査することができます。
人工知能 (AI)
新規プロジェクトの潜在的なリスクを事前に把握する機械学習や、情報を抽出して関連データとリンクさせ、全体像を作成するデータサイエンスに使用されます。
クラウドコンピューティング
AI、ビッグデータ、IIoT技術のための安価で拡張性のある俊敏なプラットフォームであるだけでなく、解析による深い洞察に基づいた判断を可能にします。
3Dプリンティング
または積層造形と称される技術は、複雑な部品やプロトタイプの製造を容易にし、コストのかかる不稼働時間を削減します。特に、遠隔地では代替品をプリントすることができ、パーツの取り寄せに長期間を費やすこともなくなります。
拡張現実(AR)/仮想現実(VR)
ARは現実の世界を再現し、VRは仮想の世界を作り出します。これらの技術によって、石油・ガス業界では技術者が複雑な作業の実施前に訓練を行うことができます。

当社の取り組み

当社は、デジタル化されたエネルギー会社のトップを目指し、世界のエネルギーへのニーズを満たしつつ、当社の事業活動が環境へ及ぼす影響を最小限に抑える技術ソリューションを展開しています。その一例が、CO2排出量の削減や燃費向上、水資源の保全、そして顧客向け製品を軽量化・強靭化する次世代素材の開発です。

これらを達成するため、当社では専用の4IRセンターを設置し、科学と想像力を駆使して当社の事業運営のあり方を転換しています。4IRセンターは、従業員の技術スキルを伸ばし、さらにその最新テクノロジーによって、デジタル・トランスフォーメーションプログラムを実現します。



ロボット技術とSWIM-R

R&D部門が開発した浅水域検査監視ロボット(SWIM-R)は、その画期的な技術を駆使して石油・ガス産業界の様々な課題に取り組んでいます。

その一つが、浅海域でのパイプライン点検です。これは現在、潜水作業支援船(DSV)に繋がれた潜水員が手作業で実施しています。

DSVを浅瀬で運用する場合、水面下の障害物と接触するリスクがあります。しかしSWIM-Rは、浅瀬でもパイプラインを安全かつ効率的に検査することができ、作業時間とコストを削減します。

 

4IRセンター

当社の4IRセンター(4IRC)は、イノベーションと最先端技術の開発を担う、広さ2,500m2の施設です。

近未来的なAIハブは、20以上の業務ソリューションを表示する湾曲した巨大スクリーンに囲まれ、高度な分析や機械学習ソリューションを開発しています。UAVスペースでは、フレアスタックの検査やメタンガスの検出などをサポートする陸・海・空のロボットの運用方法を実演しています。

VRゾーンは、オペレーターの教育訓練に使用されます。拡張現実・仮想現実を活用し、シミュレーションブースにいながら、実際のプラント作業をリアルに体験できます。

ウスマニヤ・ガスプラント

当社のウスマニヤ・ガスプラントは、世界経済フォーラムの「ライトハウス」に認定された、4IR技術応用のリーダー的産業施設です。

世界最大級のガス処理プラントであり、高度な分析とAIソリューションを用いて生産性を向上させながら、施設の安全性、信頼性、効率性を高めています。

ドローンやウェアラブル技術、例えばビデオキャプチャー機能を搭載するデジタルヘルメットや、レンズに直接情報を映し出すメガネなどの活用により、検査時間を90%も短縮しました。


未来のエネルギー会社

当社は、石油・ガス産業のデジタル化に注力しています。デジタル化は作業効率の向上のみならず、イノベーション促進やデジタルに精通した人材の育成、新たな雇用創出につながります。このテクノロジーを活用すれば、この業界が環境に与える影響も最小限に抑えることができます。

このビジョンを実現するためには、いかに世界中の優秀な人々と協力・提携し、さらに自社の労働力に投資していくかが鍵になります。当社のリサーチセンターやイノベーションハブのグローバル・ネットワークは米国や欧州、アジアに広がっています。当社は文字通り24時間体制で、科学研究の限界に挑戦し続けます。