地域の強靭化を図る

エネルギー安全保障を支える地域密着型サプライチェーンの利点を示すiktva(イクティバ - サウジアラビア国内産業奨励プログラム)プログラム


  • 経済相互協力システムの開発への投資は、世界のエネルギー安全保障を支える前進への道
  • アラムコのiktvaプログラムは、エネルギー部門の適応力と信頼性を高め、世界中にエネルギーを供給するための活動
  • 投資を誘致し、ローカルおよびグローバルなパートナーシップを形成して、サプライチェーンの効率性を高めることでこれを実現します。

Abeer Alnemari |

世界は、確実で継続的なエネルギー供給がなければ止まってしまいます。エネルギーは、社会と経済の進歩の原動力となり、主要産業における重要な製品やサービスを製造するための基本的な構成要素としての役割を担っています。

そのため、世界経済へのエネルギーの継続的な供給は極めて重要です。世界のエネルギー安全保障を支える取り組みの一環として、私たちは、供給の回復力と信頼性を高めることができる技術、プログラム、生態系に投資しています。

こうした取り組みをサポートする経済相互協力システムの開発には、無限の可能性があります。2015年の開始以来、当社のサウジアラビア国内産業奨励プログラム(iktva)プログラムは、安全なエネルギーに対する世界の需要に応えることができる、より臨機応変に対応可能で信頼性の高いエネルギーセクターの開発に役立つ、世界クラスのサプライチェーンの構築に向けて取り組んでいます。


より臨機応変に対応できるサプライチェーン

エネルギー安全保障を実現する鍵のひとつは、臨機応変に対応可能で信頼性の高いサプライチェーンであり、これを実現するために、私たちは現地化戦略を展開しています。製品やサービスを現地化することで、既存のエネルギーインフラを強化し、イノベーションの新たな機会を創出し、現地の商業エコシステムを拡大することができ、これらすべてがエネルギーサプライチェーンの強靭性を確保し、世界中に安定したエネルギー供給を行うことにつながります。当社のiktvaプログラムは、国内調達率70%の達成を目指しており、これまでのところ、サウジアラビアにおける製品・サービスの国内調達率はすでに63%に達しています。

これは、サプライヤーの製造能力を現地化し、サプライチェーンリスクを排除する目的で、エネルギー、物流、製造の最大手グローバル企業への投資誘致とパートナーシップの育成により達成されました。

経済相互協力システムの拡大のため、製品・サービスのローカライゼーションを図る 

中小企業の成長機会

ローカライゼーションのプロセスにおいて、中小企業は活発な商業的エコシステムを成長させる上で主導的な役割を担っています。中小企業は、課題の解決策を見つけ、新しい製品やサービスの需要に応えるのに最適です。このため、iktvaプログラムでは中小企業に大きな焦点を当て、ビジネスを拡大するために主要なグローバルサプライヤー連携させることで、信頼できるエネルギーサプライチェーンを構築する可能性が増しています。

iktvaは、2022年に中小企業における調達先への支出額を2021年比で1.2倍増やすことに貢献しました。中小企業の成長に投資することで、化学品、海上設備、油田機器などの分野に広がる商品の生産を、サウジアラビアで初めて現地化し、サプライチェーンのリスクを排除することができました。これには、初の非金属工業製品製造施設や、初のフレアリング装置製造施設などが含まれます。

互恵的パートナーシップ

信頼性の高いサプライチェーンには、国内外を問わず戦略的なパートナーシップが必要ですが、iktvaもその例に漏れません。このプログラムは、地域の産業を育成する重要なパートナーシップの形成に役立っています。その好例が、NOVとの合弁会社であるArabian Rig Manufacturing(ARM)で、先駆的な掘削装置製造に特化し、すでにサウジアラビアで最初の掘削装置を製造しているのです。

ARMはiktvaの支援を受けて、リグ製造と掘削装置製造のための世界最大級の単独施設を設立し、エネルギーのサプライチェーンを強化し、最先端の装置と技術に対するエネルギー部門のニーズに応えようとしています。


変化のスピードに対応する

エネルギー供給への対応力と信頼性を高め、世界のエネルギー需要を満たすには、製品やサービスの利用可能性だけでなく、イノベーションが必要です。他の産業と同様に、世界のエネルギー産業においても、イノベーションとデジタル化の必要性は急速に高まっています。

iktvaプログラムは、現在需要がある製品だけでなく、業界のカーボンフットプリントを低減する製品開発や、イノベーションの創出促進となるような投資機会にもなっています。

世界のエネルギー産業において、イノベーションの必要性が急速に高まっています。

非金属製品の製造ハブや、サルマン国王エナジーパーク(SPARK)における4IR技術ソリューションの開発ハブの設立を支援しています。非金属製品ハブは、石油・ガス、建築・建設、再生可能エネルギー、パッケージング、自動車分野での非金属製造の現地化を目指します。技術ハブは、人工知能(AI)、サイバーセキュリティ、ロボティクスなど4IRのサブセクターに焦点を当てた技術ソリューションの開発を支援するものです。

まだ開発初期段階ですが、このようなイニシアチブは、世界のエネルギー供給方法を変えることができる次世代の解決策を生み出す可能性を持っています。


信頼と柔軟な対応力の実績

ローカライズの価値は、過去に起きたサプライチェーンの混乱時に再認識されました。柔軟な対応が可能なサプライヤーネットワークを活用することで、事業の継続を確保することができました。2021年後期、海外のお客さまへの原油と石油精製品の定時配送率は、99.9%を記録しました。

これには、当社のiktvaプログラムが大きく寄与しています。iktvaは、ローカルコンテンツ開発業務を通じて、国内の価値創造を高め、より競争力のあるローカルな製品やサービスを生み出しています。これにより、全体的な効率性と信頼性を高め、エネルギーサプライチェーンのリスクを最小化するための現地化の利点を示しています。その結果、世界情勢が不安定な時期でも、こうしたサプライチェーンの効率化により、世界中のお客さまへの出荷を滞らせることなく行うことができました。

世界中のどのお客様に対しても、商品を遅滞なくお届けします

未来の成功を実現する

iktvaの大胆な目標の多くが実現する中、私たちは、現在と将来のエネルギー安全保障を支える世界レベルのサプライチェーンの構築に貢献しています。より信頼性が高く、安全で、効率的な商業的エコシステムは、世界のエネルギー需要の増大に対応することができます。iktvaは、この目標をより多くの方法で支援しています。

サプライチェーンの現地化とイノベーションの推進に加え、iktvaはサウジアラビアに本社を置き、環境、社会、ガバナンス(ESG)基準を満たしたサプライヤーに報酬を与えています。ワールドクラスの地域産業ハブの構築に貢献し、サプライチェーンの二酸化炭素排出量を削減することで、サプライヤーは、低炭素エネルギーに対する世界の需要に応え続けることができるのです。