- クライスは世界最大級のインテリジェント油田
- 油田インフラ構成のデジタルツインを持つ
- サウジアラムコ史上2番目の世界経済フォーラムライトハウス(灯台=指針)施設
エネルギー産業の環境負荷を軽減するデジタルソリューション
クライスには、実際の産油施設に加えて、リアルタイムデジタルツインが並行して存在します。ツインは、クライスの中央処理施設にある中央制御室で稼働しています。
この中枢部では、膨大なデータが画面間を高速で行き来し、施設の稼働状況をくまなく監視し、予測や診断を行っています。ボタンひとつを押すだけで先進アルゴリズムが実行され、インテリジェント油田操業の停止や再開、産油量の増減を制御できます。
先般、世界経済フォーラム(WEF)は、このクライスのインテリジェント油田インフラ構成を評価し、最先端の4IR技術の導入、統合におけるリーダーシップを認め、「グローバル・ライトハウス・ネットワーク」の1拠点に認定しました。
「サウジアラムコにおける事業レジリエンシー強化の一環として、クライス油田は完全にIoT化されたインテリジェントな油田である」とWEFは声明で述べています。「これにより、処理の自律的制御や、設備やパイプラインの遠隔操作・監視が可能となるため、スマート油井仕上げ技術だけでも、油井における15%以上の生産性向上を実現している」としています。
サウジアラムコは、世界有数のデジタル化推進エネルギー企業への道のりを歩んでおり、テクノロジーを梃子により環境に優しく、より効率的で安全なオペレーションのあり方の実現に挑んでいます。デジタル・トランスフォーメーションこそが、未来のプラントの基礎をなす要素なのです。
「目指すのは、効率性、信頼性、コスト最適化の促進と、温室効果ガス排出量の削減です」
クライスの生産部門マネージャー、モハメド I. アルソウェイ
クライスの生産部門マネージャーを務めるモハメド I. アルソウェイは、油田地下から石油施設までのあらゆる工程に4IR技術のソリューションを積極的に取り入れました。「目指すのは、効率性、信頼性、コスト最適化の促進と、温室効果ガス排出量の削減です」と彼は述べています。
クライス油田では、各油井にスマート技術を活かした立坑センサーや流入制御バルブ、電動潜航ポンプが装備されています。ビッグデータ解析や機械学習を通して、油井からの石油やガス生産にかかるエネルギー消費量を抑制、不具合の可能性をより良く識別し、油層管理を強化します。
機械学習による予測・処方解析を活用し、ボイラー内の燃料ガスを最適化する独自のシステムを開発しました。このシステムの導入で、年間の燃料ガス消費量の著しい抑制とCO2排出量の8%削減という成果がもたらされました。
油田を満たす流体は、掘削を始めると劇的に変化します。油井における炭化水素の複雑な流れをスマートに調整できれば、エネルギー効率の大幅な節約と生産品の品質の向上につながります。
テクノロジーは、クライスでの労働安全にも貢献します。高層のインフラ点検では、足場に立って作業を行うのではなく、ロボットやドローンを使用して保守点検の対象物を詳細に検査します。
毎日1時間ごとに、パイプライン管理システムのセンサーが絶えず漏洩監視を続け、不具合をリアルタイムで正確な位置と共に検知します。長距離サーモカメラのフィールドビューは、対応策を決定する判断材料となります。
2019年1月、サウジアラムコのウスマニヤ・ガスプラントは、石油・ガスプラントとしては世界初の「ライトハウス」として、WEFより認定を受けました。リストアップされた1,000もの製造企業の中から選ばれた16施設の1つとして、ウスマニヤが高度な解析や人工知能を率先して活用し、検査時間の短縮、コストの最適化、安全性の強化を実現している点が認められました。