デジタル油田 - バイトからバレルへ

エネルギー産業の環境負荷を軽減するデジタルソリューション


  • クライスは世界最大級のインテリジェント油田
  • 油田インフラ構成のデジタルツインを持つ
  • サウジアラムコ史上2番目の世界経済フォーラムライトハウス(灯台=指針)施設

Janet E. Pinheiro |

第4次産業革命(4IR)技術は、製造に関わる環境負荷を低減します。負荷の低減は、世界をより持続可能なものとするポテンシャルを持ち、国連の17項目にわたる持続可能な開発目標(SDGs)の達成を後押しします。

サウジアラビア、リヤドの南東部、黄金に輝く南部砂漠の深淵には、クライス、アブジファン、マザリジの3油田が横たわっています。その中でも、クライスは世界最大級の産油施設です。

10年前、サウジアラムコは合理的な投資を行い、クライスを世界最大のインテリジェント油田へと展開しました。施設では自動化された産業機器やハードウェア、人工知能、機械学習、ビッグデータ解析を導入しています。

 


デジタルツイン

クライスには、実際の産油施設に加えて、リアルタイムデジタルツインが並行して存在します。ツインは、クライスの中央処理施設にある中央制御室で稼働しています。

この中枢部では、膨大なデータが画面間を高速で行き来し、施設の稼働状況をくまなく監視し、予測や診断を行っています。ボタンひとつを押すだけで先進アルゴリズムが実行され、インテリジェント油田操業の停止や再開、産油量の増減を制御できます。

クライスは、第4次産業革命(4IR)技術の実施を成功裏に収めた「ライトハウス」施設として認定され、先駆的製造技術の大規模な適応を成し遂げた世界の主要企業群に名を連ねています

先般、世界経済フォーラム(WEF)は、このクライスのインテリジェント油田インフラ構成を評価し、最先端の4IR技術の導入、統合におけるリーダーシップを認め、「グローバル・ライトハウス・ネットワーク」の1拠点に認定しました。

「サウジアラムコにおける事業レジリエンシー強化の一環として、クライス油田は完全にIoT化されたインテリジェントな油田である」とWEFは声明で述べています。「これにより、処理の自律的制御や、設備やパイプラインの遠隔操作・監視が可能となるため、スマート油井仕上げ技術だけでも、油井における15%以上の生産性向上を実現している」としています。


デジタルの力で石油生産の環境負荷を低減

サウジアラムコは、世界有数のデジタル化推進エネルギー企業への道のりを歩んでおり、テクノロジーを梃子により環境に優しく、より効率的で安全なオペレーションのあり方の実現に挑んでいます。デジタル・トランスフォーメーションこそが、未来のプラントの基礎をなす要素なのです。

「目指すのは、効率性、信頼性、コスト最適化の促進と、温室効果ガス排出量の削減です」

クライスの生産部門マネージャー、モハメド I. アルソウェイ

クライスの生産部門マネージャーを務めるモハメド I. アルソウェイは、油田地下から石油施設までのあらゆる工程に4IR技術のソリューションを積極的に取り入れました。「目指すのは、効率性、信頼性、コスト最適化の促進と、温室効果ガス排出量の削減です」と彼は述べています。

スマートな先進的思考

クライス油田では、各油井にスマート技術を活かした立坑センサーや流入制御バルブ、電動潜航ポンプが装備されています。ビッグデータ解析や機械学習を通して、油井からの石油やガス生産にかかるエネルギー消費量を抑制、不具合の可能性をより良く識別し、油層管理を強化します。

機械学習による予測・処方解析を活用し、ボイラー内の燃料ガスを最適化する独自のシステムを開発しました。このシステムの導入で、年間の燃料ガス消費量の著しい抑制とCO2排出量の8%削減という成果がもたらされました。

油田を満たす流体は、掘削を始めると劇的に変化します。油井における炭化水素の複雑な流れをスマートに調整できれば、エネルギー効率の大幅な節約と生産品の品質の向上につながります。

テクノロジーは、クライスでの労働安全にも貢献します。高層のインフラ点検では、足場に立って作業を行うのではなく、ロボットやドローンを使用して保守点検の対象物を詳細に検査します。

毎日1時間ごとに、パイプライン管理システムのセンサーが絶えず漏洩監視を続け、不具合をリアルタイムで正確な位置と共に検知します。長距離サーモカメラのフィールドビューは、対応策を決定する判断材料となります。

ライトハウス・プログラム

 

  1. WEFは、2018年に「製造業のライトハウス・プログラム」を開始しました。産業界が次世代型技術の導入に伴う様々な現実的課題を解決する一助を担うことを意図するものです。今日までに、世界でトータル54の施設が4IRの技術活用をリードする「ライトハウス」として認定され、他の製造企業における先進技術の導入、サステナブルなソリューションの選択、従業員の改革を促すことを目標としています。

 

2019年1月、サウジアラムコのウスマニヤ・ガスプラントは、石油・ガスプラントとしては世界初の「ライトハウス」として、WEFより認定を受けました。リストアップされた1,000もの製造企業の中から選ばれた16施設の1つとして、ウスマニヤが高度な解析や人工知能を率先して活用し、検査時間の短縮、コストの最適化、安全性の強化を実現している点が認められました。