最先端の文化

テクノロジーで豊かな心を育くむ


  • Ithraは、人間の可能性を明らかにする文化プラットフォームとして創設された、サウジアラムコから国民への贈り物
  • ビルのデザインから、展示、プログラムまで、テクノロジーがその構造に織り込まれている
  • Ithra Connectを通じて、コロナ環境下でもすべての人がバーチャルに楽しめる

Janet E. Pinheiro |

アブドゥルアジーズ王世界文化センター(Ithra)は、外壁全体がスチールパイプに覆われた、世界初(現時点では唯一)の建築物です。使用されているスチールパイプは、すべて繋ぎ合わせると360キロメートル以上。曲がり具合も1本1本異なり、定位置以外には収まらないため、すべてバーコード管理されています。

Ithraのファサードは360kmを超える固有の曲がり具合を持つスチールパイプで覆われいます。1本ずつバーコード管理され、異なった特徴をもちます。
マシュラビーヤは、イスラム建築の特徴の一つである、一種の窓格子です。風通しを良くし、日差しを遮る効果があります。

この外壁は、単に見た目が美しく、夜には最先端のプロジェクションマッピングのスクリーンとなるだけではありません。何世紀にもわたって受け継がれてきた伝統的イスラム建築の「マシュラビーヤ(窓格子)」の特徴を持ち、建物内部の温度を下げ、風通しを良くします。

Ithraのスチールパイプ製の外壁は機能満載です。日射による温度上昇を防ぎ、風通しを良くし、雑排水の回収を行います。回収した水は、ゼリスケーピングと呼ばれる当センターのハイテク・高効率な節水活動の一環として再利用されます。

Ithraの洗練された、理知的な内装は、外観と同様モダンなデザインです。

洗練され、かつサステナブル

センターでは、採用した最先端技術に古来の材料利用法を融合させています。例えば、土壁は湿らせた土に砂利や粘土を練り混ぜて固めたブロックでできたもので、サステナビリティの一つのモデル事例となっています。また、図書館の壁や天井一面に貼り合わせた五角形の外装材は、亜鉛メッキスチールに極小の穴をいくつも施したもので、見た目に美しいだけでなく、室内音の残響を抑える効果もあります。Ithraは、オープンしたその年にグリーンビルを評価する国際標準のLEED (The Leadership in Energy and Environmental Design) のゴールド認証を取得し、2018年にはTIME誌の「世界で最も素晴らしい場所100選」に選ばれています。

伝統的な工法と最新のマテリアルが融合したIthraは、サステナブルな建築物として評価され、2018年にはTIME誌の「世界で最も素晴らしい場所100選」に選ばれました。

Ithraの構想が最初に持ち上がったのは2006年です。当初は、サウジアラムコ設立75周年を記念するワールドクラスの図書館として計画されました。Ithraは、サウジアラビア文化の知識経済への移行を促進するものであり、サウジアラビア国民への贈り物でもあります。その後の設計コンペではノルウェーの建築事務所スノヘッタのデザインが採用され、2018年に一般開放された時には、人間の可能性を駆動する存在にまで発展しました。この複合型文化センターには、図書館はもちろん、サウジアラビアのアートや歴史を探求するミュージアム、舞台芸術シアター、映画館、イノベーションラボのほか、国内初の子どもミュージアムもあります。


Ithraは、外壁面に投影する3D映像の背景幕として利用でき、さらにこの素晴らしいランドマークは、遠方から、どの角度からも見ることができます

開化のビーコン(道しるべ)

イノベーションがその基礎構造に組み込まれていることから、Ithraの隅々までテクノロジーが重要な役割を担うことは明らかでした。センター内の各セクションには、ハイテク音響・映像・照明に加え、デジタル情報パネル、インタラクティブ・ディスプレイなども備わります。イノベーションの中核となるアイデアラボには、マテリアルライブラリーや3Dプリンター、デザイン展示、そして、イノベーターや起業家、発明家がプレゼンテーションを行う円形シアターがあります。「Being Saudi」という展示では、デザインや詩、音楽、民族衣装などのデジタルコンテンツに加えて、ここでしか得られない体験が味わえます。プログラム制作部門責任者アブドゥッラ・アルラシッドは次のように語ります。「ここはまさにインタラクティブなミュージアムで、来館者はサウジアラビアの民族衣装を着て写真を撮ったり、気に入った詩や音楽をお土産として自分宛てにメールで送ったりもできます」

サウジアラビアのソーシャルメディア利用は世界トップクラスであり、米国や韓国、日本以上に普及しているため、人々へのアプローチ方法として大変有効です。例えば、Ithraのモバイルアプリは、館内移動に沿った体験を提供し、ユーザーが館内のどの場所にいても接続できる環境を整えています。このアプリには、IoTなど第4次産業革命の技術を利用した、位置情報に基づくプッシュ通知機能が搭載されており、館内のいたるところに設置されたBluetoothビーコンを通じて作動します。これらのビーコン、すなわち双方向センサーが、微小電波信号をスマートフォンに送り、ユーザーの位置と展示物やギャラリーの場所を関連づけて、ithraでの体験をユーザー個人に合ったものとします。

世界をつなぐIthra

新型コロナウィルスの感染拡大で、世界各地の文化施設が休館となり、デジタル観覧が進むきっかけとなりました。Ithraは通信分野の専門性と技術力を活かし、自らが使命とする5つの柱、すなわち、芸術、文化、知識、創造性、コミュニティのオンラインプログラムを制作し、提供し続けています。この強化されたオンライン戦略が、Ithra Connectです。

多くの文化施設や美術館が通常プログラムのバーチャル展覧に取り組んでいますが、そうした展示はIthra Connectのごく一部分に過ぎません。バーチャルツアーを始め、毎日の情報発信、ストーリーテリング・ポッドキャスト、COVID-19 Journal(一般公開のインタラクティブ・ジャーナル)、COVID-19 Culture Discussion(インタラクティブ・トークショー)、ミートアップなど数々のコンテンツを提供しています。

「世界中の施設は、今世界が直面している状況を踏まえて、人々とつながり続けるため適応し進化しなければなりません」とコミュニケーション・パートナーシップ部門責任者ラニア ビルタジは言います。「私たちには幅広い層の利用者がおり、施設が休館しているからといって立ち止まるわけにはいきません。むしろ、今こそ私たちが能力を発揮し、自由な発想でコンテンツやテクノロジーを活用し、デジタル分野の強みを活かして、Ithraの魅力を最大限オンラインで伝えていけたらと考えています」

 

Ithraは、芸術、文化、知識、創造性、コミュニティという5つの柱を使命としています。

すべての人のための最先端文化センター


知識、文化、創造性、イノベーションを象徴するモニュメントであり、人々を新たな発見へと導くビーコン(道しるべ)であり、サウジアラビアの、そして世界の人々への贈り物であるIthra。

Ithraは、伝統とイノベーション、個々の達成と人々の協力を称える文化センターです。それを象徴する建物は、国と世界の前途を、未来に対する強いビジョンによって映し出しています。

そのビジョンとは、人々の創造性と知性を育み、さらにデジタル戦略により教育を強化することです。だからこそ、この文化センターは地域社会に対して大きな責任があるのです。Ithraは、人間の可能性こそが未来を切り開くという信念のもと築かれました。様々な困難の時期においてその能力を発揮できれば、Ithraはサウジアラムコからサウジアラビア国民への最高の贈り物となります。アルラシッドはこう語ります。「Ithraは常に世界中の人々を魅了し、豊かな心を育くむことを目指しています。テクノロジーを積極的に活用し、知見を広げることは、私たちのDNAに刻まれています。Ithraは、美しい建築物としてだけでなく、私たちが提供する充実したプログラムによって、他に類を見ない素晴らしい文化センターとなっています。さらに、その独特な融合をデジタルで世界中に届けているのです」

「テクノロジーを活用し、知見を広げることは、私たちのDNAに刻まれています」

Ithraのプログラム制作部門責任者アブドゥッラ アルラシッド