特許取得件数が急増した背景

アラムコの技術の進歩は、業界最多の米国特許取得件数を達成したことによる優位性に反映されています


  • 2022年、エネルギー業界で最も多くの特許を米国で取得
  • イノベーションに重点を置くことで、社内の能力を継続的に向上させ、特許を取得したソリューションを開発
  • 当社の研究開発活動は、より持続可能なソリューションとAIや機械学習などの4IR技術に焦点を当て、エネルギーのバリューチェーン全体にわたって大きな貢献

Michael Davy |

アラムコは、その歴史を通じて、事業の長期的な持続可能性と効率性の向上、経済成長の促進、そして低炭素な未来への道筋を作ることを目指し、企業文化の一環としてイノベーションに投資してきました。

アラムコのイノベーションを大切にする文化の大きな促進要因の一つに、知的財産(IP)管理グループと、知的財産をできるだけ多く獲得するための専門弁理士チームであるIP法務・グループの存在があります。

その結果、当社の特許出願件数は増加の一途をたどっています。

2022年だけでも966件の特許を取得しましたが、その87%は新しいアイデアに由来するものでした。Patent 300®によると、米国内のエネルギー業界で最も多くの特許を取得した企業であり、同年に米国で特許を取得した全ての企業および大学の中で上位50位にランクインしました。また、2022年には、クラリベイトが毎年発表している「Top 100 Global Innovators」(最も優れた革新的なアイデアを持つ企業としてクラリベイトが認定するリスト)にランクインしました。

特許が重要な理由

当社がオペレーション、財務、サステナビリティの実績を維持し、成長する事業によって競争力のある市場ポジションを支えるためには、イノベーションが欠かせません。世界的な課題、そしてエネルギー転換における低炭素社会の実現の重要性を考えると、イノベーションと連携を加速し、さらに高めていく必要があります。

特許件数は、顧客のニーズに対応するために多額の投資を必要とする対応策の開発を目指す競争市場において、イノベーションの重要な指標となります。強力な知的財産を保有することは、ライセンス供与や商業化を通じて追加的な収入を得ることで、投資コストを回収するのに役立つのです。

貴重な技術や知的財産の所有により、当社の解決策の拡大に貢献することができる強力なパートナーを惹きつけ、需要への対応や強固な顧客基盤を支えられるのです。

また、強力な技術力があることで、対応策の提供や、優秀な人材の獲得・確保など、市場において競争力のあるポジションを確保することができます。

デーツ種子の技術

特許の成長をどのように推進したか

当社の研究能力は、専門技術者や科学者の採用活動によって大幅に拡大されましたが、大きな飛躍を遂げたのは、研究組織のグローバルネットワークの構築でした。

2012年、当社はサウジアラビアのダーランにある本社以外の場所で研究活動を開始し、世界各地の人材拠点に近接した研究・技術センターのネットワーク設立に注力しました。

このような研究能力の向上により、複数の主要産業において、低炭素化や製品に焦点を当てた特許の取得が加速されました。

当社は、米国の統合ナノテクノロジーセンター、中国の清華大学、韓国の韓国科学技術院(KAIST)、サウジアラビアのキング・アブドゥッラー科学技術大学(KAUST)など、主要な学術機関や研究機関と幅広い共同開発プログラムを立ち上げています。

これらのプログラムは、エネルギーバリューチェーン全体の潜在的な解決策に焦点を当て、時には当社の事業や本業を超えて、顧客やパートナーが炭素管理や環境パフォーマンスなど、差し迫った課題に取り組むことを支援することを目的としています。

社内からアイデアを生み出し、イノベーションの文化を築き、イノベーションの重要性をより深く理解するために、啓発キャンペーンを開始しました。

社員が関連分野の教育を受け、アイデアをコンセプトから特許に発展させる方法について学びました。

また、取り組みと創造文化を促進するために、専門のイノベーション会議とイノベーション管理システムを設置し、アイデアを生み出すための目標やKPIを設定しました。

アラムコ研究センター – KAUST

特許を本業以外にも生かす

特許を取得したケースの多くは、現在も自社の事業や製品向けに開発されていますが、当社は、本業以外のソリューションの開発・推進にも意欲的に取り組んでいます。

このような役割と貢献は、エネルギーバリューチェーンのほとんどの領域に対する当社の深い洞察力と、先進的な技術を開発し、それを拡張してきた経験によって可能となりました。

専門チームが、パートナーとの連携を推進し、斬新な研究開発のアイデアを導入し、特許を取得した解決策を商業化することに役立っています。

私たちは最近、人工知能(AI)を応用して、地下パイプの腐食の度合いを判断し、メンテナンスの要請が必要なタイミングを判断することに成功しました。

この新しいアプローチは、修理の必要がない場所での地面を掘る必要性と多大な労力を省くことができるため、大きな進歩です。

この新しい技術では、サーモグラフィーカメラがパイプネットワーク全体を撮影し、腐食の可能性が高い場所をAIが予測します。このシステムはすでに90%の精度に近づいており、より多くのデータによってさらに改善される予定です。


未来の特許

この業界の複雑さと課題を考えると、私たちの研究の幅は当然ながら広大です。これは、商品化可能な新しいアイデアを次から次へと生み出すのに役立っています。当社の特許は、AIや機械学習などの第4次産業革命に関連する解決策とその可能性に新たに重点を置いています。

当社の技術ポートフォリオは、内燃機関の画期的な解決策の開発から、カーボン、ポリマー、コンポジットなどの非金属材料の開拓まで、幅広い範囲に及んでいます。また、水中検査ロボットの開発、水素、炭素回収、原油から化学品への変換技術などにも注力しています。

これらの技術は、当社のシステム・製品のさらなる進化と性能向上に貢献します。


エネルギー産業の枠を越えて

健全な企業イノベーションの状態を示す最も強力な指標は、私たちが保有する特許の範囲でしょう。

エネルギー産業における業務や研究に特化したイノベーションにとどまらず、セキュリティゲートの設計に関するイノベーションから、事故や病気を予測するウェアラブル技術まで、さまざまな特許を申請し、取得しています。

このような特許の急増は、技術やイノベーションの分野でリーダーシップを発揮しようという私たちの意欲を裏付けています。
そして今、この集中力の結果、必然的に特許もついてきているのです。

2022年だけでも966件の米国特許を取得するなど、特許ポートフォリオの拡大を通じて、当社はイノベーションへの取り組みを強化し、市場競争力を維持し、すべての事業において価値と効率性を高めることに貢献しています。

アラムコが米国で取得した特許件数