影響力、行動力、決断力:アラムコを支える女性従業員たちのストーリー

人材の多様性が、可能性を機会に変える


  • 多様性のさらなる推進によって、より多くの優秀な人材を確保し、新たな機会を創出
  • 包括的な取り組みによって人材を強化し、女性従業員があらゆるレベルで活躍できる機会を提供
  • アラムコの成功を支える女性従業員たち

Rebecca Wallace |

World Petroleum Council(世界石油会議)の統計によると、世界の石油・ガスに携わる労働者のうち、女性はわずか20%です。近年は人材の多様化が進んでいるものの、この業界は男性が活躍する場という認識が根強く残っています。しかしアラムコは、ネルギー産業における女性の未来は明るいと考えます。当社は、ジェンダーを問わず多様な人材にとって最高の職場となるよう最大限の努力を払っております。

私たちは、アラムコにおいて、そして業界においても女性が与える影響は大きいと認識しており、女性がさらに活躍できるよう、様々なリーダーシップ・プログラムやメンター・プログラムなど、能力開発と早い昇進を実現できる環境を整えてきました。

当社の女性従業員は、油田で働く石油エンジニアや、研究開発センターで未来変革研究に取り組む科学者、当社のエネルギー製品を世界中の顧客に販売するトレーダー、革新的なプロセスや製品を開発する発明家など多岐にわたります。近年はアラムコの女性従業員によって、170件以上もの特許が申請されました。

6人のアラムコ女性従業員とそれぞれの魅力あふれるストーリーをご紹介しましょう。


サウジアラムコのR&DCで素材設計研究室の上席研究員を務めるHaleema Alamri博士。生分解性プラスチックの開発を進めています。

プラスチック分野のイノベーション

Haleema Alamri博士は多才な人物です。彼女はサウジアラムコの研究開発センター(R&DC)素材設計研究室の上席研究員で、化学分野の博士号を持っています。また2児の母親でありながら、MITの客員研究員でもあり、中国語を学び、サウジアラビア女性のための社会イノベーショングループのリーダーも務めています。

さらに素晴らしいのは、彼女の研究に対する探求心です。R&DCでは研究員チームとして、将来地球環境に悪影響を与えるプラスチックゴミとならないような生分解性プラスチックの研究をしています。Haleema博士は化学とマクロ分子工学の知識を生かして、特殊な革新的ポリマー分野を開拓し、生分解をコントロールできる新たなポリマー生成技術を開発しています。

彼女はこれを自らの使命と感じています。社会を変革し、子どもたちにより良い未来が約束されるように。「私たちには限られた選択肢しかなく、特に女性は決して活躍できない分野があるという考えで育ちました。そうした認識を変えるために尽力したいと思っています」 Haleema博士はまさにそれを実行しているのです。彼女の成功は、環境問題にとどまらず、社会全体にも大きな影響を与えることでしょう。


サウジアラムコが世界とつながり続けるために

目まぐるしく変化するデジタルコンテンツの世界において、グローバル企業が人々とつながり、影響を与えるためには何ができるでしょうか。アラムコでこの困難な課題に立ち向かうのは、デジタルコミュニケーション部長Sara Tamimiです。「ゴールなんてありません」と彼女は笑います。「でも私たちの仕事は常に刺激的ですし、サウジアラビア国内をはじめ、世界中の人々に向けて発信できるこのチームを誇りに感じています」 Saraのリーダーシップのもと、チームは今や7億8百万人を超える人たちとつながっています。

デジタル環境は常に変化し続けています。しかし何かを達成するためのチャレンジ精神は今も昔も変わりません。この活動的な若きリーダーは、まずIT分野でキャリアを積み、アラムコの高等教育プログラムを通じて香港科技大学でMBAを修得しました。「アラムコの企業としての素晴らしさは、学習と好奇心の文化を醸成していることです。教育の機会を提供することで、その人材は将来会社に大きく貢献するのです」

Saraとチームの努力により、アラムコのデジタルコミュニケーション・チャンネルには数々の賞が与えられました。中でも近年は中東地域デジタルアワード(MDA)のベスト・ウェブプラットフォーム賞、石油・ガスセクターにおけるベストデジタル活用賞の2つで金賞を獲得しました。しかし、これらの成果は決して偶然ではないとSaraは言います。「私たちは行動科学やデータに基づくニーズを見つけ出し、SNSやオンラインも活用して、当社の人間味を出せるよう努めています」

Sara Tamimiとチームは、当社のオンライン・コミュニケーションのポートフォリオを管理し、デジタル世界では7億8百万人超の人々とつながっています。

Elaf Ahmed博士は、約10名の科学者で構成されるチームのプロジェクトリーダーの一人で、様々な産業水処理技術の研究を行っています。

自然科学の世界で前進する

Elaf Ahmed博士にとって、自然現象、特に微生物の世界は驚きの連続です。彼女は高校時代から科学に没頭し、環境科学工学の博士号を取得しました。彼女は、様々なナノマテリアルを環境に応用する生物電気化学の合成研究に従事しており、光触媒や染料の分解性などに注目しています。

Ahmed博士は、R&DC内の石油・ガス処理部門の産業水処理チームの一員としてアラムコに入社しました。彼女は約10名の科学者で構成されるチームのプロジェクトリーダーの一人で、様々な産業水処理技術の研究を行っています。「油やガス層には炭化水素とともに水分が含まれています。将来の利用に適した水処理技術を発見することは非常に重要です」と、Ahmed博士は説明します。

また彼女は、STEMと呼ばれる科学、技術、工学、数学分野でのサウジアラビア女性の活躍についても前向きです。「サウジアラビア女性を取り巻く環境は変化しつつあり、その変化を女性たちは心強く思っています。それを実感できるのはとても素晴らしいことです。今や女性は様々な分野に参加し、より重要な役割を担い、社会にも良い影響を与えています」 彼女は査読付き科学ジャーナルに自らの研究を投稿し特許を申請、その他数々の国際カンファレンスでも研究内容を発表してきました。科学の世界で前進し続ける彼女は、他の女性たちにとって先駆的、先導的存在なのです。


太陽光発電は未来のエネルギーミックスに

Esra M. Alhabshiが学校で初めて科学実験を行ったとき、実際の実験としても、そして彼女の心の中にも明かりが灯りました。「簡単な実験でした。コンポーネントとワイヤーを接続し、電球を点灯させたのです」 Esraは語ります。「その瞬間気付いたのです。自分がやりたいことは、具体的な目的を持ち、自分の目でその成果を確かめられるような何かだと」

Esraは電気工学とナノ技術、マイクロシステムの学位を取得し、現在はより困難な課題に取り組んでいます。彼女はR&DCの持続可能エネルギーチームの一員として、KAUST(キング・アブダッラー科学技術大学)との共同研究を行っています。太陽電池の効率を向上させる非金属素材の研究に携わり、未来は太陽光のみならず水素や炭素回収・貯留技術など、幅広い分野でよりクリーンなエネルギーが作られると信じています。「50年後には、シリコンレイヤーなど新素材の生産によって、太陽エネルギーの活用量が劇的に増えるかもしれません。ペロブスカイトなどの素材は軽量で柔軟性があり、太陽電池にも応用できる可能性があります」と彼女は続けます。

Esraとチームの研究はいくつかの研究誌に掲載され、数々の権威あるカンファレンスでも発表されました。Ersaの業績により、STEM分野における女性の活躍に注目が集まります。

Esra M. Alhabshiは、太陽電池の効率を向上させる非金属素材の研究に携わり、太陽光のみならず水素や炭素回収・貯留技術など、幅広い分野でよりクリーンなエネルギーの将来性を見据えています。

研究科学者であるHawraa Bin Saadは、革新的な研究分野を特定することで、石油経済の多様化をしようと注力しています。

成功の化学

Hawraa Bin Saadがいつも見る夢は、おそらく多くの人が戸惑うようなものでしょう。それは複雑な方程式です。毎夜夢の中に方程式が出てきて、現実の世界で一刻も早く解くために目を覚ましなさいと自分に言い聞かせるのです。朝になり、研究室に戻った彼女は仕事に取り掛かります。

Hawraaは現在、R&DCの非金属素材応用開発部門の研究員です。石油・ガス以外の産業に応用できる革新的な研究分野を特定することで、石油経済の多様化をしようと注力しています。彼女は非金属素材のワークショップを実施して、非金属パイプの課題と制約を明確にしました。そのワークショップの結果は、市場に出回る非金属素材の主な技術的課題に対処するための技術ロードマップを作成する際に分析され、そして優先順位付けに活かされました。このロードマップは現在、新設の非金属素材イノベーションセンター(英国、ケンブリッジ)の研究ポートフォリオの一つになっています。

Hawraaが有機化学について語るとき、まさに彼女の初恋だということが伝わってきます。彼女は素材のメカニズムや合成について、まるで目の前で生き物が何か戦いを繰り広げているようで、それを楽しんでいるのだと言います。「私はこれからも科学を探求し続けるでしょうし、今もそうしていることがとても嬉しいです。本当に魅力的な世界です」


歴史的な歩みの一節に

Abeer Aljabrは、自分が歴史的な出来事の一部になるとは思ってもいませんでした。しかし彼女は同僚のJazyah Al-Dossaryとともに、サウジアラビア初となる国立消防協会公認の女性消防士となったのです。Abeerは防火部門のエンジニアとして働くためサウジアラムコに入社し、厳しい身体トレーニングを受け、医療・技能試験にも合格しました。そして消火技術や、火や煙の挙動、車両事故対応、救急技術などを学びました。訓練をこなし、消防士として前線に立つ同僚たちと一緒に働く中で、彼女は同僚たちの技術や知識を吸収していきました。

「消防士の仕事といえば、火を消すというイメージをしがちですし、もちろんそれには身体的能力、技術、そして状況判断力のすべてが求められることも事実です」とAbeerは説明します。「でも実は、STEM分野に関する深い知識も必要なのです。火がどのように燃えるかを理解するには、まずその科学的仕組みを知らなければなりません」 Abeerはいつも物理を用いると言います。消火も、つまりは燃焼の連鎖反応を中断させることなのです。

「国立消防協会公認の消防士になれたこと、そしてサウジアラビアの歴史的な歩みの一節になったことを誇りに思います。このような進歩によって、これまで男性中心だった専門分野でも女性の活躍が進むでしょう。様々な技能や才能、視点などを最大限に活かすためには、多様性が必要なのです」

サウジアラビア初の国立消防協会公認女性消防士の一人となったAbeer Aljabr。様々な技能や才能を活かすためには、多様性が必要だと感じています。