- サウジアラムコは石油・ガス事業のエネルギー強度をモニター
- エネルギー管理プログラムにより、2000年以降日量平均250,000バレルを節約
- 世界最大の石油・施設の一つで、当社の2018年のエネルギー効率最大化を実現
エネルギー消費を最小に。
現代のエネルギーは、今日のグローバル化した経済とライフスタイルにとって欠かすことのできないものです。この20年間、何億もの人々が(特に中国とインド)電気を利用できるようになりました。エネルギーは機会を生み出します。国際エネルギー機関(IEA)の調査開始以来、電気が利用できない人の数は今年初めて10億人を下回りました。
世界人口が今後25年間で20億人増加すると予測される中、原油および革新的な石油製品の需要は伸び続けるでしょう。自然の貴重な資源であり、強力なエネルギー源でもある原油は、農薬・建設資材・家庭用品・衣類など、非常に多くの日用品を作り出す革新的な基礎原料です。
気候変動は人類が直面する最重要課題の一つであり、サウジアラムコは、エネルギーを決して無駄にしないためにも、その消費を管理する必要があると認識しています。何十年にもわたり、当社は様々な省エネ技術と手法を取り入れ、エネルギー消費と温室効果ガス排出を削減してきました
サウジアラビアの産業開発の大きな躍進を象徴する、1970年代に開始されたマスターガスシステムは、ガスを国内のエネルギーミックスに取り入れるとともに、原油をより高付加価値の用途に利用することを可能にしました。
サウジアラムコのチーフエンジニアであるジャミル J. アルバガウィは、エネルギーの効率的かつ効果的利用に向けた当社の戦略を踏まえて、次のように述べています。「当社はエネルギー効率化と地球規模の排出ガスの課題に取り組んでいます」
「サウジアラムコこそが、全面的な課題解決に有効的に取り組むことができる企業であると自負しています」とバガウィは語ります。「当社は石油・ガス事業のエネルギー強度をモニターしています」
サウジアラムコ国内施設におけるエネルギー強度(kBtu、1000英国熱量単位)
サウジアラムコのエネルギー管理プログラムは2000年に始まりました。このプログラムによる今日までの累計省エネ数量は、石油換算日量平均227,000バレル(bpd)にのぼります。これは2,580万メトリックトンの二酸化炭素(CO2)に相当し、2030年までのサウジアラビアの排出削減目標の19%にあたります。
当社は、産業施設と非産業施設の両方で企業のエネルギーパフォーマンスを促進するための企業委員会を設置しています。2018年には163のエネルギーイニシアチブが実施され、大幅なエネルギー効率化が実現しました。その効果により、当社のエネルギー強度の主要パフォーマンス指標を4.6%も上回りました。
サウジアラムコの2018年エネルギー効率化実績
コジェネレーションは、蒸気と電力を同時に製造する燃料効率に優れたプロセスで、従来の発電所よりも効率の高いエネルギー生成手法です。サウジアラムコは、コジェネレーション・システムを利用し、国内電力網への依存度を減らし、最終的には稼働プラントへの電力自給を目指しています。
コジェネレーションにより、当社は70%以上の熱効率を達成しています。設備廃熱を利用することで、事業運営に必要な電気を発電すると同時に、エミッションを削減し、国内電力グリッドへの影響を軽減しています。
これらの数値に到達するのに多大な努力を要しました。その手段としては、5,198台のV8エンジン車をV6エンジン車に切り換える、2,921隻の燃料タンカーをスチール製からアルミニウム製に交換する、467,000個の電球と8,000個の街路灯をLEDに置き換える、などです。
リヤド南東160キロに位置するクライスは、世界最大の石油生産・処理施設の一つです。クライス、アブジファン、マザリジの3油田は、岩の多い南部砂漠の地下深くに横たわっています。
クライスは、150万bpdのアラビアンライト原油生産が可能な5つのオイルトレイン(系列)と、12万5000 bpdのアラビアンスーパーライト原油を生産する他の2つの中央アラビア施設を運転しています。2018年12月、この施設はビューローベリタスからISO 50001:2011エネルギー管理システム認証を取得しました。
当社における2018年のエネルギー効率最大化は、様々なパフォーマンス戦略を継続的に実施したことにより達成されました。その結果、年間14%の節電、10%の燃料ガスの節約となりました。
「当社は、主要なパフォーマンス指標を示し、従業員同士の協力を促進しています。これにより、会社のため、そして環境のために省エネ活動を行う企業文化が育まれています」と、クライスの生産マネージャー、モハメド I. アルソウェイは説明します。
当社は、主要なパフォーマンス指標を示し、従業員同士の協力を促進しています。これにより、会社のため、そして環境のために省エネ活動を行う企業文化が育まれています。
クライスの生産マネージャー、モハメド I. アルソウェイ
クライスでは、エネルギーパフォーマンスを可能な限り最適化するため、自社開発のパフォーマンスモニタリングツールを使用しています。フロスト&サリバン マニュファクチャリング リーダーシップアワードを受賞したこのツールは、エネルギー効率化に向けたパフォーマンスの改善により得られる効果を数値化し、改善に向けたアドバイスを提供し、その取り組みに優先順位を付けます。
需要と供給が処理施設の生産能力に負荷を与えるため、トレインを製品で満たした状態に保つことがエネルギー効率を高めます。クライスは各トレインの負荷を最適なレベルに維持しています。
「単純なことです。需要が低下した場合、一系列を停止して他の系列をフル稼働させればいいのです」と、クライスのエネルギーコーディネーター、カマルール・アミヌディンは語ります。
クライスではまた、ガスタービンからの排熱回収を最大化し、海水注入ポンプを稼働させています。廃熱から発生する蒸気は、プロセスの主な蒸気源となり、補助ボイラーは、粗製油から水と硫化水素を除去する複雑な処理プロセスの非常用設備として使用されます。
他にも、電力を浪費する不必要な再循環を防ぐ主要コンプレッサーのサージ防止設定の最適化、補助ボイラーの燃料ガスの消費を削減するボイラー給水の予熱、電力消費を最小化する油井の電動水中ポンプへの「高度プロセス制御」の導入などが実施されています。