世界の社会・経済は成長を続け、同時にエネルギー需要も増大しつつあります。私たちはこの需要に応えるべく、油・ガス層モデリングと先進的なシミュレーション技術、コンピューター科学を融合し、当社の油層でよりサステナブルな回収の実現に取り組んでいます。こうしたイノベーションと目覚ましく拡充する当社の事業とが相まって、エネルギー需要の増加に対応しつつ、気候変動に対する世界の取組みとも軌を一にするという大きな目標に邁進していきます。
アラムコは、最高峰の技術を活用して油層の寿命延長とサイト運営や安全面の向上に取り組んでいます。
世界の社会・経済は成長を続け、同時にエネルギー需要も増大しつつあります。私たちはこの需要に応えるべく、油・ガス層モデリングと先進的なシミュレーション技術、コンピューター科学を融合し、当社の油層でよりサステナブルな回収の実現に取り組んでいます。こうしたイノベーションと目覚ましく拡充する当社の事業とが相まって、エネルギー需要の増加に対応しつつ、気候変動に対する世界の取組みとも軌を一にするという大きな目標に邁進していきます。
炭化水素油層とその周辺地域の複雑な地質を深く理解すればするほど、油井の掘削場所の見極めや炭化水素の長期生産管理、新たな鉱床の発見などをより効率的に行えます。
そこで大きな課題となるのが、複数地点から異なる時間間隔で採集した大量のデータをひとつにまとめ、総合的な高解像度の地下モデルをつくることです。また扱うデータの種類が多く、そのため作業がより複雑になります。
入力するデータは地質学から3D、地震探査、地球化学、流体、掘削、生産データ、その他のソースと多岐にわたり、これらをアラムコの科学者チームが高度で複雑なアルゴリズムで解析し、地球表面の下に何があるのかを究極の精度で可視化します。
それぞれの坑井とその周囲数百メートルの地中に常設されたセンサーからデータが絶え間なく送られ、情報を更新します。こうしたセンサーや数々のデータ取得法により、油層の形成を高解像度で可視化、現状の確認はもちろん、数十年後の状態の変化をも知ることができます。
新しいデータや観測値が届くたび、また新たな坑井が掘削されるごとに、モデルはリアルタイムで即座に反応し情報を更新します。そのおかげでアラムコではエンジニアたちが緻密な知識にもとづいて油田開発を最適化することができるのです。
大量のデータ収集は始まりにすぎません。油層やその周辺の流体の流れを効率よくシミュレーションするため、スーパーコンピューターを用いてそのデータを解析、解読していかなければなりません。
まず、ひとつひとつの3D貯留層モデルをおびただしい数の「セル」に分割します。そのセルの数が多く、ひとつのセルのサイズが小さいほど、そのモデルの精度、解像度は高まります。しかしその分、計算処理に要するエネルギーも増大します。
例えばひとつの貯留層モデルのデータには、その油田の過去数十年分の履歴データのほか、流体の特性、メタンやCO2、硫化水素(H2S)、プロパンガスの現在量、そしてリアルタイムの温度や圧力測定値などが含まれています。
アラムコの技術は、何億年もの歳月をかけて油層がどのように形成されてきたのか、またその中で今何が起こっているのかがわかるというだけではありません。油層中の異なる流体の動きや、今後数十年の間に生じる構造変化についても、高解像度のシミュレーションを生成することができます。油層モデルやシミュレーションの驚異的な精度と豊富な内容のおかげで、できる限り健全かつ比較的適正なコストで生産エリアを長期的に拡充するための油層管理を計画できるのです。
新規油田開発と稼働中の油層管理の最適化にテクノロジーは欠かせません。最適な掘削場所の特定、各油井の枝坑井の数、また必要な制御機器の設置場所や種類など、油井そのものの設計によって、石油生産率が向上します。
油層の特性を詳細に把握することは、それぞれの油井の生産のあり方を決めるのにも役立ちます。ほとんどの油層では、内部の圧力を維持し岩石から石油を抽出するために水を注入する必要があります。しかし、水が油井内に侵入すると、石油生産の妨げとなります。アラムコ独自のGigaPOWERSシミュレーターを使った高精度貯留層モデルは、積極的な注水プログラムにおける流体の流れを詳細に捉え、注水計画の設計に役立っています。こうしたシミュレーションにより、各油井の理想産油率を割り出し、水によって油層内の圧力を一定に保ちながら最適な採油率を実現しているのです。
このおかげで、石油と水分の分離作業が減りました。また当社のモデルは、水分分離などの地上生産施設の設置場所として最適な位置を的確に見定めるのにも役立ちます。
分離にかかるコストを下げ、かつこのプロセスの必要性自体も縮小することにより、消費電力が減り省エネになった分、CO2の排出量も低減されます。
加えて、この技術は地下資源の計算や生産量の予測にも欠かせません。これがあるからこそ、世界の需要の変化に対応する能力を維持することができるのです。
アラムコは当初、広大な油田の全体像をモデル化するという当社ならではの課題に直面しました。世界最大級の油田を有する私たちは、専用の技術を独自で開発しなければなりませんでした。その結果、業界初となるセル10億個の油層シミュレーション技術を開発しました。
2010年には地上最大規模の油田2ヶ所を初めてモデル化しました。複数の地層や油層が複雑に入り組んだ全長174マイル(約280km)の陸上油田であるガワール油田と、全長31.1マイル(約50km)のサファニヤ海洋油田です。
このような大偉業を遂げるにはふたつのパワーが必要です。ひとつが優秀な科学者の思考力としてのパワー、そしてもうひとつがコンピューターの計算能力としてのパワーです。当社のテクノロジーは複雑なアルゴリズムを基礎に、革新的な可視化ツールでデータから示唆に富んだ識見を導き出します。そのおかげで、より適確な意思決定や産油・操業の最適化が可能になるのです。
そのためには、極めて大きな計算能力が必要となります。コンピューターの計算能力の進化とともに、可能性はどんどん広がりつつあります。過去には何日もかけてひとつのシミュレーションを行っていました。しかも油層のほんの一部しかできません。現在の計算能力をもってすれば、油田全体でも数時間でシミュレーションすることが可能です。近い将来には20ペタフロップスの処理能力をもつアラムコの新しいスーパーコンピューターGhawar Oneが登場します。世界でも上位25に数えられるこのスーパーコンピューターは、1秒あたり2京(1016)回の計算能力があり、私たちはさらに大きな目標に向かって前進します。
このように、これほど大規模で複雑なモデルは、その制作に膨大な計算能力を必要とするため、それだけ消費電力は膨らみ、結果として多くのGHGを排出することになります。アラムコは、数倍の計算能力と同時にGHG排出量の大幅な削減を実現する新たな技術を数年前に採用しました。ハードウェア(マイクロチップ、CPU間の接続ファイバー、内部設計など)の最新技術を搭載し、使用電力を最大半分まで減らしながら、これまでと同じ成果をより効率よくあげることができます。スーパーコンピューターGhawar Oneにはこのアーキテクチャが採用されているため、より高速かつより省エネなのです
アラムコのシミュレーションモデリング技術には、もう一つの強みがあります。それは二酸化炭素の管理に優れていることです。この技術は水分分離にかかる消費エネルギーの削減だけでなく、CO2の管理にも役立ちます。
高精度モデルはCO2隔離プロジェクトやCO2による石油増進回収(EOR)プロジェクトにおけるモデリングでも活躍を続けています。これらのモデルは、枯渇した石油やガス層の塩水性帯水層に注入したCO2が、地中で見せる数十年間の挙動の可能性について、重要な情報を提供します。
私たちは高効率のカーボンマネジメントを優先課題としています。アメリカのスタンフォード大学が主導する世界の科学者チームが2018年に行った調査は、世界の石油総生産量のうち0.1%以上を生産している産油国の中で、原油の掘削や加工、製油所までの運搬など主要な産油プロセスにおける炭素強度が最も低いのがサウジアラビアであることを明らかにしました。
2016年、アラムコは世界で初のセル1兆個の石油移動モデルを作成、アラビア半島の歴史を数百万年さかのぼるシミュレーションを実施しました。ここでは、サウジアラビア国内の石油移動シミュレーションを以前の2万倍のスピードで実現、アラビア半島全体を捉えひとつの高解像度モデルでシミュレーションする道を開きました。
センサー技術とデータ取得技術の進歩により、収集するデータの情報量を増やし、より高解像度のモデルを構築できるようになってきています。このデータの向上が、計算能力の飛躍的な進歩とあいまって、これまでにないレベルの複雑で詳細なシミュレーションを実現しています。
こうして常に新しい情報を見出すことで、何百年先の予測もより正確になります。サウジアラビア全体をモデル化するというアラムコの目標にこのデータ分析と油層の可視化における潮流は、はかり知れない可能性をもたらします。
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