未来燃料の供給を可能にするためには?

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よりクリーンな燃料開発の試み

世界はかつてないほどのエネルギーを必要としています。これは、こうした需要の高まりに応えつつ、CO2排出量と環境への全体的な影響にも対処できるサステナブルなシステムが必要であることを意味します。

考えられる解決策の1つが水素です。水素は、サステナブルで効率的、かつ手頃な価格のエネルギーを大規模に供給できる可能性を秘めています。しかし、水素の輸送には費用がかかります。では、どうすればこのクリーンなエネルギーを商業的に実現可能なものにして、世界中に供給できるでしょうか?


なぜ水素なのか?

水素は宇宙で最も豊富な元素というだけではありません。自動車、電車、トラックや船への燃料供給から、発電や建物の暖房まで、将来のエネルギーミックスでも重要な役割を果たす可能性があります。これは水素が燃焼や酸化の際に水だけを放出する無色でクリーンな燃料だからです。

現在、世界の産業用水素の約半分が天然ガス(メタン)由来であり、肥料用として、さらには製鉄業、鉄鋼業、宇宙産業で利用されています。しかし、天然ガスから水素を抽出する従来の手法では、水素を1トン生産するごとに約10トンのCO2が発生します。 そのため、よりサステナブルな生産方法を見い出す必要がありました。


ブルー水素:循環型炭素経済に欠かせない要素

アラムコは10年以上にわたり、炭化水素から高純度水素を生産するための有望な技術を研究してきました。この中には熱中和改質(TNR)や、軽油を水素に変換する触媒が含まれます。最終的な目標はいわゆる「ブルー水素」を生み出すこと、つまり貴重なガスを抽出すると同時に排出されたCO2全量を回収することでした。

メタン燃焼時には水素とCO2が発生しますが、ブルー水素が違う点は、排出されたCO2を回収するとともに、再生、除去、または再利用する点です。この取り組みすべてが、循環型炭素経済に向けたアラムコのビジョンの一翼を担っています。

現時点で、炭化水素のエネルギーの約80%から85%を水素燃料へ変換し、その後2種類の革新的技術を用いて回収済みのCO2を活用することに成功しています。一方の技術は石油増進回収のためにCO2をある油層に投入することと関わり、他方の技術では廃棄されたCO2を回収し工業用メタノールなどの化学製品へと変換します。余剰分はすべて安全に地中深く隔離することもできます。

輸送コストの節減

しかしながら、ブルー水素の生産は問題のおよそ半分の解決にとどまります。次に克服しなければならなかったのは、どのようにこの画期的燃料を手頃なコストで貯蔵し、需要地に供給するかということでした。

水素は非常に軽い分子です。液化は可能ですが、温度を-254°Cに保つ必要があります。これは特に長距離において、輸送が非常に難しくコストがかさむことを意味します。解決策は、水素をすでに世界中で広く取引されている化合物へ変換することでした。

水素に比べ、液化アンモニアは求められる温度と圧力条件のいずれの点においても、はるかに簡便で実用的、かつコスト効率良く輸送できます。

目的地に到着したブルーアンモニアは、変換してブルー水素に戻したり、そのままガスタービン用燃料としてよりクリーンな発電に利用したりできます。


世界初のブルーアンモニア輸送

2020年、アラムコは当時最も野心的なパイロットプロジェクトの1つを成功裏に完了しました。SABICおよび日本エネルギー経済研究所(IEEJ)との協力のもと行った、炭化水素バリューチェーン全体を網羅する供給ネットワークの実証試験です。

このユニークなコラボレーションは、2020年8月に、ハイグレード・ブルーアンモニア40トンの日本への出荷成功という形で結実しました。

ブルーアンモニアは日本国内の3施設に輸送され、既存の発電所において燃焼比率20%のアンモニアが石炭と、および燃焼比率50%のアンモニアが天然ガスと無事に混焼されました。この実証試験は、脱炭素社会という日本の最終的な目標の実現に向けた数々の取り組みの1つであり、IEEJによると、将来日本における電力の約10%がブルーアンモニアによって生成される可能性があります。


合成燃料

燃料電池での水素利用も、未来のサステナブルな輸送燃料として非常に大きな可能性を秘めています。

2019年、アラムコはサウジアラビア初の水素燃料ステーションを開設しました。一方、日本、中国、韓国などの国々も水素充電スタンドとインフラへの投資を行っています。水素需要が増加する中、大幅な低コストで世界中に水素輸送をする私たちの能力の重要性を示しています。


よりクリーンな燃料への新たな道筋を活性化

この先にはまだいくつもの課題が待ち受けています。たとえば、さらに高い比率で炭化水素エネルギーを水素に変換する方法を開発することや、各国のパートナーと協力して発電と水素燃料車両向けのより広範なインフラとサプライチェーンを確立することなどです。

しかし、あらゆる人々のために、低価格で安定したサステナブル、そしてよりクリーンなエネルギーを生み出す上で、天然ガスのブルー水素への変換が鍵を握ることは明らかです。