共にモビリティ・ソリューションを追求

サウジアラムコとJCCPが最近東京で開催した合同シンポジウムにおいて基調演説を行うアハマッド O. アルコウェイターCTO。 同氏は、3つの確固たる現実と未来のモビリティの課題について説明し、これらこそサウジアラムコの燃料リサーチプログラムを推進するものである、と述べました。また、日本の主要な新聞社が出席した記者会見においても、サウジアラムコの研究を紹介しました。

サウジアラムコ、シンポジウムでGCI技術を発表

5月16日、自動車業界、政府機関、精製業者、学術機関、研究所、日本のシンクタンク等を代表する人々とサウジアラムコの研究員約100名が、サウジアラムコと国際石油・ガス協力機関(JCCP)が東京で開催した合同シンポジウムに参加しました。「エネルギー節減とエミッション削減を実現する燃料の未来を切り開く」と題されたこのシンポジウムで、サウジアラムコは研究中のガソリン圧縮着火(GCI)技術について発表すると同時に、各業界の有力な方々と強固な関係を結ぶ機会を得ました。サウジアラムコは2000年からGCI 技術の研究を開始し、温室効果ガスの削減を目指して、自動車業界と共にエンジンや燃料の共同開発を行っています。この技術は、輸送燃料のうち処理工程が少なくてすむ軽質留分を利用する手段を提供し、重質燃料と軽質燃料の世界的な需要の不均衡を緩和します。

未来のモビリティの課題

サウジアラムコの最高技術責任者(CTO)アハマッド O. アルコウェイターはシンポジウムの冒頭に基調講演を行い、未来のモビリティの課題を明らかにしました。同氏によると、その課題の要因となっているのは、次の3つの「確固たる現実」です。 

  • 輸送エネルギーの需要は、特に、社会が輸送に強く依存している開発途上国においては、引き続き拡大する。
  • 現在、世界の輸送エネルギーの需要の約95%は石油が占めている。また、最も現実的な予測によると、2040年段階でも、輸送エネルギーの需要の90%以上を、引き続き石油が満たしている。 
  • 道路輸送は、世界の温室効果ガス排出の約10%を占めている。  現在、道路輸送の駆動力の大半は内燃機関が供給しているため、輸送部門の気候への影響を抑制する手段として、車両の効率性向上に大きな可能性がある。 

サウジアラムコの世界的な研究を推進

これらの確固たる現実こそが、サウジアラムコの燃料リサーチプログラムを推進させるのです、とアルコウェイターは述べました。「サウジアラムコの目標は、ソリューションを明らかにし、輸送部門にとって持続可能かつ手頃な価格で、かつ効率的な技術を開発・推進することです」と同氏は語っています。「この課題に対するソリューションは、バリューチェーンの複数のステークホルダー、すなわち規制機関や政策立案者、燃料供給者、自動車メーカー、技術提供者、学術機関、研究所等が協力して初めて得られるものです。このシンポジウムはそのためにあるのです」 

このシンポジウムでは、「政策主導か、消費者の選択か」「将来型燃料を実現に導くもの」「先進内燃機の見通し」という3つのテーマでセッションが開催されました。各セッションではそれぞれの分野のパイオニアが紹介され、活発な意見交換と聴衆の積極的な参加により、興味深く、実り多い議論を行うことが奨励されました。 

研究内容をより多くの人々に

シンポジウムへの参加は関連業界の人々に限られていましたが、サウジアラムコはこの機に記者会見を実施し、多方面の関係者に同社の研究内容を紹介しました。日本の主要な新聞社が出席した記者会見では、アルコウェイターが、サウジアラムコの研究開発中の技術、特にGCI 分野の研究と技術開発における日本との協力の可能性について概要を説明しました。記者達は、試作車の制作時期と商品化の機会について、強い関心を示していました。