沖縄:サウジアラムコとアジア太平洋地域をつなぐ架け橋

沖縄水納島のサンゴ礁 (写真提供: 沖縄県サンゴ礁保全推進協議会)

沖縄は日本の最南端に位置し、数百の島から成るユニークな県です。歴史的に北東アジアと世界の他の地域をつなぐ重要な役割を果たしてきましたが、今日ではサウジアラムコとアジア地域を結ぶ大切な架け橋として機能しています。 

サウジアラムコは、日本政府と契約を締結した2010年以来、沖縄東岸のうるま市で石油基地を運営しています。サウジアラムコは、この基地に自社の原油を貯蔵し、ここからアジア太平洋地域の様々な市場に原油を供給するのと併せて、緊急時には契約に従って日本に優先的に原油を供給します。 

サウジアラムコは沖縄で、これまで3回のエグゼクティブ・リトリートを開催しました。これは、サウジアラムコの経営幹部と地域のお客様との間の関係を築く大切な場となっています。 

沖縄はアジア太平洋地域との結びつきを示す象徴的存在であり、アラムコ・アジア・ジャパン(AAJ)は、様々な活動を通して沖縄との関係を構築・深化させています。その活動は、環境フットプリントを明確にするとともに、この美しい島で事業を行うための社会的責任を果たすものです。 

環境の保護、そしてその為の研究への協力

太平洋とインド洋の境界の最北端に位置する沖縄は、いくつかの海流がぶつかり、多様な海洋生物が棲息する熱帯のホットスポットです。気候変動や他の海洋生態系の変化の影響は、世界のどこよりも早く沖縄島周辺で見られると考えられています。 

AAJの協力を受け、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究チームは、沖縄の海にオーシャンキューブ観測機器を設置しました。これは、世界でも数少ない稼働中の長期連続海中観測システムの一つで、海洋生物の多様性を理解するために、年間を通して生物学的データや周囲の環境データを提供します。現在サポートしている研究の進展の可能性を認識したAAJはこのほど、海洋環境分野におけるOISTの研究開発活動に、さらなる支援を提供するという契約に調印しました。 

マングローブの保護

また、AAJは琉球大学と、沖縄を象徴するもう一つの海洋生物の宝、マングローブの研究開発活動への支援に関する覚書に調印しました。サウジアラビアの海岸と同様、沖縄沿岸のマングローブは、様々な開発計画に脅かされている鳥類や海洋生物のために、大切な生息地を提供しています。覚書に基づき、国際的に名高い同大学の熱帯生物圏研究センターは、新たに導入された小型無人機(ドローン)を使用して、沖縄諸島の一つにおいてデータ収集実験を実施しました。同センターは、マレーシアの研究所との共同フィールドワークを実施することにより、研究地域を拡大し、新しい生物種も発見しています。 

活動は草の根レベルから

沖縄には、生態系にとって重要なサンゴ礁があり、サンゴ礁が支える固有種の動植物の多様性は世界でも最も高いと言われています。しかし、残念なことに沖縄のサンゴ礁はこの30年間減り続けています。その原因は、サンゴ白化現象、ヒトデの大量発生のほか、気候変動や都市開発による海洋生態系の破壊から生じる現象だと考えられています。 

AAJは、沖縄のサンゴ礁保全活動に関わる約100の非営利団体(NPO)を束ねる地域団体、沖縄県サンゴ礁保全推進協議会とのコラボレーションも行っています。これらの団体は、サンゴ幼生の養殖・移植、サンゴ礁の保全方法の研究、自然環境に対する理解と感謝の心を育てるための子供向け教育活動等を実施しています。 

NPOの一つであるINO(イノー:沖縄のことばで「内海」を意味する)は、30~80歳の漁師のグループで、学識者のアドバイザーと共に活動しています。このグループの主な活動は、船の操縦や潜水など漁師としてのスキルを利用して、魚類や植物の養殖を行うことです。 

小規模な活動ではありますが、AAJは、故郷に対して強い思いを持つNPOが展開する、このような熱心な継続活動を高く評価しています。 

AAJは、沖縄県サンゴ礁保全推進協議会が毎年実施している啓発キャンペーン、「沖縄サンゴ礁ウィーク」も支援しています。これは、あらゆる年齢の地域住民や観光客を対象とした教育活動で、様々なNPOが環境保護を目的として体験型のプログラム、展示会、シンポジウムなどを実施します。 

船に乗り、養殖中のサンゴと移植後に大きく育ったサンゴ礁を見たAAJのアハメド M. アルクネイニ代表取締役社長は、「地域社会が故郷の島の環境を保護するために、一歩一歩努力する姿を見るのは、貴重な体験だった」と語っています。 

沖縄は、サウジアラビアと日本の架け橋であり、アジア太平洋地域との関係を一層緊密にする役割も果たしています。そして、今後もその役割を果たし続けることでしょう。