このほど東京で開催された国際石油交流センター(JCCP)第34回国際シンポジウムに、サウジアラムコを代表し、ダウンストリームR&Dセンター長、アマール A. アルナウィが参加いたしました。
アルナウィは「技術戦略と展開」というテーマのセッションに参加し、世界の様々な地域から参加したパネリストと共に、それぞれの組織が技術開発のために実施している多様なアプローチについて話し合いました。
サウジアラムコの技術プログラムの転換
アルナウィは、現在サウジアラムコが2020年までに世界をリードする総合エネルギー・化学会社になるために行っている戦略の一環として、同社が実施している技術プログラムの転換状況を紹介しました。その例としてあげた強化対策には、最高技術責任者(CTO)が率いる技術監視機関の新設、従業員の能力向上(特にR&D分野)のための投資、世界各地での研究所設立や学識者・業界専門家等とのパートナーシップによる世界的研究ネットワークの構築などが含まれます。
サウジアラムコが特に重点を置いているのは、次のような分野です。
- 「アップストリーム」探鉱・採掘の分野
- 「ダウンストリーム」水素化分解触媒や高過酷度流動接触分解(HS-FCC)等の技術を含む価値の最大化
- 「戦略」主に燃料・エンジン技術および炭素管理
日本の組織とのコラボレーション
アルナウィは、ある技術を開発し実用化まで展開するためには、JCCPのような信頼のできる組織とサウジアラムコが強力なパートナーシップを結ぶことが必要不可欠である、と強調しました。
先進技術を提供する日本企業と協力して実施したプロジェクトもあります。成功例としては、JXエネルギー株式会社と共同開発したHS-FCCを韓国のSオイルで商業的に展開している例や、日揮触媒化成株式会社と共同開発した水素化分解触媒をリヤド製油所で実用化に向けて実証し、引き続き展開している例があります。
「競争力があり、そして敏速に行動できる技術機関の設立、また、その機関から生みだされている結果からサウジアラムコの技術転換の成功の過程を垣間見ることができます」とアルナウィは語っています。
JCCPが毎年開催しているこのシンポジウムには、石油産業の担当者、石油会社の経営幹部、石油生産国・消費国のエネルギー専門家など約400名が参加しました。
JCCPの沿革
JCCPは1981年に設立された日本の経済産業省の関連団体で、産油国と日本との石油ダウンストリーム部門における技術協力や人的交流を促進しています。主な活動は、海外諸国の技術・管理スタッフの日本での研修、日本の専門家の海外派遣、国際会議・セミナーの開催、調査・研究の実施などです。
今日までに数百名のアラムコ社員がJCCPの研修に参加し、プログラムを修了しています。また、JCCPを通してサウジアラムコと日本企業が広範な技術協力プロジェクトを実施しています。
さらに、基調講演を行ったアーベッド A. アルサドゥン サウジアラビア石油鉱物資源省次官(国営企業担当)は、講演の最初に、2000年にサウジアラムコの社員としてJCCPの技術研修に参加したことに触れ、サウジアラビアと日本との固い絆を示す話として聴衆から温かく受け入れられました。