サウジアラムコCEO、国連気候変動サミットで演説

国連気候変動サミット2014

サウジアラムコのカーリッドA. アルファレ(Khalid A. Al-Falih)社長兼CEOの挨拶

ご来賓の皆様、ご列席の皆様、こんにちは。

私たちサウジアラムコは、必要なエネルギーを適正な価格で提供することにより、世界経済の発展に貢献する一方で、低炭素社会への道を切り拓きたいと考えています。現代社会が求めるこの2つの目標は、一見すると相反するもののように思えますが、私たちはこれらが両立できると信じています。

私たちは、以下のような戦略に基づいて、石油の生産と消費の両面で多角的な取り組みを進めています。

  • 単なるコンプライアンスに留まらない、環境保護への揺るぎないコミットメント
  • 石油のバリューチェーン全体を通してオペレーショナル・エクセレンスを浸透させること
  • そして最も重要なことは、イノベーションとテクノロジーを活用すること

生産面では、サウジアラムコは、これまでの長い歴史で大きな成果をあげてきました。過去40年間に、事業は大きく拡大したにもかかわらずCO2排出量を6分の1に削減しました。また、ガスフレアリングは現在、年間ガス生産量の1%以下にまで削減することに成功しています。これからも多角的努力を継続していく方針で、大規模な産業プラントのひとつでCO2に関する大がかりな実証プロジェクトを開始するところです。

消費面に目を向けると、ここでも大きな進歩が見られます。輸送部門は、世界の温室効果ガス排出量のわずか13%を占めるまでに減少していますが、イノベーションとテクノロジーの推進により、これをさらに削減することができます。たとえばハイブリッド車は、1ガロン当たりの平均的な走行距離を倍増させることができます。もちろん、従来型の内燃エンジンやディーゼルエンジンの効率性を高める努力も継続しています。

たとえば、サウジアラムコでは、自動車産業と協力し、飛躍的な燃費向上と排出量削減を目指して、画期的な統合エンジン-燃料システムの開発を主要な研究開発目標のひとつとして推進しています。さらに、CO2を車外に排出せずに回収するエンジンを搭載した試験車の製作も視野に入ってきました。

生産と消費の両面におけるこのような多彩な取り組みを支えるため、私たちは研究開発費を5倍に増やし、また、志を同じくするパートナーとのコラボレーションを進めています。こうした努力は、私たちの事業に経済的、環境的に好ましい影響をもたらしており、その効果は全世界に及んでいます。

もちろん、このような努力を行っているのは、私たちだけでないことは言うまでもありません。現実に、世界屈指の石油・ガス会社が歴史的な石油ガス気候変動イニシアティブを発足させることで合意しています。これについては、先ほど行われた民間セクター・フォーラムの昼食会において、私から発表させていただきました。このイニシアティブは、主要な気候変動課題に取り組み、業界のベストプラクティスを共有し、気候変動に対する有意義な行動と調整を触発する基盤としての役割を果たすものです。石油ガス業界が自らの立場を再設定し、世界のエネルギー課題の解決に貢献する中心的な存在となろうとしていることを示す、もうひとつの事例と言えます。

ご列席の皆様、世界が求める環境面の利益と、企業として追求すべき経済面の利益を同時に実現することは容易ではないでしょう。しかし、官民連携のようなボトムアップ型で、産業主導で民間セクター出資方式をとり、その中核にイノベーションとテクノロジーを据えることこそ、困難な相反するふたつの課題を克服し、双方に利益をもたらす最善の方法であると私たちは信じています。

ご静聴ありがとうございました。