- 母の死をきっかけにアイーシャは家族を養わねばならなくなりました。
- アイーシャが見つけたローズヤールでの仕事は、収入が限られる現地の女性を雇用し、タイーフ産ローズのオイルを原料としたスキンケア製品を生産するというものでした。
- 入社して2年が経ち、アイーシャと彼女のキャリアはますます輝きを増しています。
ずっと化粧品業界での就職を夢見てきたアイーシャは、あふれる情熱を、アラビアで有名なタイーフ品種のバラを原料とした化粧品を作る取り組みに活かしています。その仕事を通じ、自分と家族のための収入を生み出しているのです。
幼い頃から美の世界に憧れを抱き続けてきたアイーシャ。
生まれつき心臓に穴が開いていたことから、母親は、アイーシャの体を特に気遣いつつも、夢を追い続ける彼女を励ましてくれました。
高校を卒業したアイーシャは地元の専門学校に進学、兼ねてから強い関心を抱いていたメイクアップアーティストになるため、3年間の課程に申し込みました。
ところが在学中、母親が亡くなり、わずか21歳のアイーシャが父親、妹、弟を支えなければならなくなりました。
「その時から、私はもはや保護される存在ではなく、家族を支えられるよう、強くならなければと、自分に言い聞かせました」と、アイーシャは語ります。
3年後、アイーシャは職業訓練を受けながら、専門学校での課程を修了しました。ちょうどその頃、父親は腎不全を患っており、働くことができなくなっていました。
それを知った友人が、アラムコが女性を支援するための取り組みとして、地元タイーフにバラの加工をするスキンケア製品工場「ローズヤール」を設立、女性たちに研修を実施して雇用していることを教えてくれました。このプロジェクトは、地域社会を支援して活性化するため、アラムコが展開する市民活動の一環として行われています。
ジェッダから車でわずか2-3時間、サウジアラビア西部に位置するタイーフは、バラ栽培の中心地です。
タイーフ・ローズと呼ばれる品種は、特にその強い香りが高く評価されており、世界中の大手香水メーカーが原料として使用しています。周辺地域にはおよそ900ヶ所のバラ農園が点在しており、タイーフ産のバラとして数世紀にもわたって栽培されてきました。
こうして収穫されたバラは、世界で最も高価な天然のローズオイル(attarアッタル)やローズウォーターの原料となります。
アラムコが支援して設立したタイーフのスキンケア製品工場では、現地の女性たちが化粧品の原料として地元産のバラから抽出したオイルを利用した製品を生産し、収入を得ています。
タイーフのアル・ヤカザ女性慈善協会に登録されているこの取り組みは、現地の女性を専門工場で雇用し、持続可能な収入を伴う新しいスキルを身に着けてもらうことで、地方経済を活性化することを目的としています。
アイーシャはローズヤールに入社することで生産技術者としての訓練を受け、子供のころから憧れてきた化粧品業界と再びつながることができました。ボディローション、ボディバター、ハンドクリーム、シャワージェル、液体ハンドソープなど、さまざまなスキンケア製品の生産ラインで、その全工程の監督を任されていることを誇りに思っています。
「こうした美しい商品の生産に自分が携わっているなんて、夢のようです」
「ローズヤールの同僚たちは、私にとってもうひとつの家族のようなものです。皆とても協力的で、力を合わせることでさらにモチベーションが上がり、生産性が高まっていると感じます」
ローズヤールでの仕事があったおかげで、アイーシャはタイーフ産ローズの甘い花の香りに包まれながら、さまざまな責任を果たすことができました。
そしてタイーフ産バラのケアを学ぶことが、結果として自分自身のケアにもつながり、成功を収めた強い女性に成長することができました。
「ジェッダで心臓病の治療を受けること、家族を経済的に養うこと、そして自立して生きていくことのバランスを取ることができました。車さえ手に入れることができたのです」アイーシャは語ります。
「ローズヤールの一員であることに、とても誇りを持っていますし、地域社会に貢献していることを実感します」