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Aramco

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地域社会を動かす代替エネルギー、低炭素水素

アラムコは石油・ガス生産を主要事業とする大手エネルギー・化学企業です。ここでご紹介するソリューションは、商業展開の初期段階のものです。

世界はかつてないほどのエネルギーを必要としています。CO2排出量と環境への全体的な影響に対処しつつ、需要の高まりにも対応できるサステナブルなシステムが求められています。それは、エネルギー移行のただ中にあっても、絶えず社会を動かし続けることが可能なシステムを意味します。
その解決策のひとつとして考えられるのが水素です。水素は、大型輸送や暖房・加熱、発電など脱炭素化が困難な分野において、大幅な排出量削減に貢献できる低エミッションのエネルギーキャリアとしての可能性を秘めています。
先端技術の導入やアップストリームにおける炭素強度の低さ、コストを抑えた石油・ガス生産に定評のあるアラムコは、大規模かつコスト競争力のある水素生産に大きな可能性を見いだしています。しかし、水素は輸送にコストがかかります。では、どうすれば、この低エミッションエネルギーを世界中に供給することが商業的に実現可能となるのでしょうか。

世界で初めて低炭素アンモニアを商用輸送

アラムコは水素の安全かつコストを抑えた大規模輸送のため、水素をまず低炭素アンモニアに変換するという画期的なソリューションを採用しています。2020年のパイロット・プログラムで40トンの低炭素アンモニアを日本へ輸送し、その成功を受けて韓国へ2万5千トンの第三者認証取得済み低炭素アンモニアを出荷。これが世界初の認証を受けた低炭素アンモニア商用輸送となりました。 その後、日本の富士石油に対して第三者認証済み発電用低炭素アンモニアの初輸送を実現しています。

代替エネルギー源の考え方を変える

水素には極めて大きな可能性があると考えられており、私たちはそれを現実のものとする手法を探求し続けます。鉄鋼やセメント、輸送など産業界へのエネルギー供給、グリッド・バランスの下支え、さらには家庭の暖房での利用など、未来のチャンスを切り開きます。とどのつまり、今後何十年にもわたって社会にエネルギーを絶え間なく供給することを見据えているのです。

なぜ水素なのか

明日のエネルギーを解き放つ

水素は宇宙に最も多く存在する元素というだけではありません。自動車、電車、トラックや船への燃料供給から、発電や建物の暖房まで、将来のエネルギーミックスでも重要な役割を果たす可能性があります。これは水素が燃焼や酸化の際に水だけを放出する無色でクリーンな燃料だからです。 

そこで、エネルギーキャリアとしての水素の可能性が、人や地球のための未来のエネルギー需要を満たし、今あるインフラに排出量の少ない未来を実現するという私たちのビジョンの核心的役割を担うのです。

循環型炭素経済

アラムコは10年以上にわたって、熱中和改質(TNR)や、軽油を水素に変換する触媒など、炭化水素から高純度水素を生産するための有望な技術を研究してきました。

当初より、目標は「低炭素」な水素を生み出すこと、つまり貴重なガスを抽出すると同時に排出されたCO2全量を回収することでした。

メタンが燃焼すると水素とCO2が発生しますが、低炭素水素の場合、排出されるCO2を回収し、注入や隔離(地中貯留)できるという点で異なります。こうした取り組みが、循環型炭素経済に向けたアラムコのビジョンの一翼を担っています。

回収したCO2の活用にあたり、2種類の革新的技術を用います。1つは石油増進回収のためにCO2を油層に注入するための技術で、もう1つが廃棄されたCO2を回収し工業用メタノールなどの化学品へと変換する技術です。 さらに残ったCO2はすべて安全に地中深く隔離することもできます。

 

主要データ

数字で見る水素

-254°C

液化水素の温度

2,640万ドル1

アラムコが2022年に費やした低炭素水素のコスト

輸送コストの削減

低炭素水素の開発だけでは問題解決に至りません。次のハードルは、どうすればこの画期的燃料を手軽なコストで貯蔵し、需要地に供給できるかという問題でした。

水素は非常に軽い分子です。液化は可能ですが、温度を-254°Cに保つ必要があります。これは特に長距離輸送となると、難度が上がりコストもかさみます。

解決策は、水素をすでに世界中で広く取引されている化合物、つまりアンモニアに変換することでした。 

水素に比べ、液化アンモニアは求められる温度と圧力条件のいずれにおいてもはるかに簡便で実用的、かつコスト効率よく輸送できます。 

目的地に到着した低炭素アンモニアは、再び低炭素水素に変換することも、クリーンな発電用としてそのままの形でガスタービンの燃料に使用することも可能です。

世界初の低炭素アンモニア

2020年、アラムコは当時最も野心的なパイロットプロジェクトの1つを成功裏に完了しました。SABICおよび日本エネルギー経済研究所(IEEJ)との協力のもと行った炭化水素バリューチェーン全体を網羅する供給ネットワークの実証試験です。

この取り組みは、2020年8月にハイグレード・低炭素アンモニア40トンを無事に日本へ出荷するという形で実を結びました。低炭素アンモニアは日本国内の3施設に輸送され、既存の発電所において燃焼比率20%のアンモニアと石炭、そして同じ燃焼比率のアンモニアと天然ガスとの混合燃焼に成功しました。

2022年には生産する低炭素アンモニアおよび低炭素水素に対し世界初となるテュフ ラインランドの認証を取得し、合計4万5千トン超の水素が、提携するSABICアグリ・ニュートリエンツ・カンパニーと、アラムコの自社製油所SASREFを介して東アジアへ輸出されました。

これは、低炭素社会実現という大きな目標に向けた韓国や日本の取り組みを支援する数ある活動のひとつです。IEEJは、将来低炭素アンモニアが日本の電力の約10%を賄う可能性を示唆しています。

合成燃料

水素などを利用する燃料電池技術も、未来のサステナブルな輸送燃料として非常に大きな可能性を秘めています。

2019年、アラムコはサウジアラビア初の水素ステーションを開設しました。一方、日本や中国、韓国などの国々も水素充電スタンドやインフラへの投資を行っています。

水素需要が増加する中、水素を低炭素アンモニアの形で大幅な低コストで世界中に輸送する私たちの能力の重要性を示しています。

よりクリーンな燃料で世界をリード

この先にはまだいくつかの課題が私たちを待ち受けています。たとえば、さらに高い比率で炭化水素エネルギーを水素に変換する方法を開発することや、各国のパートナー企業と協力して発電と水素燃料車両向けのインフラやサプライチェーンを拡大することです。 

しかし、あらゆる人々のために低価格で安定したサステナブル、そしてよりクリーンなエネルギーを生み出すうえで、天然ガスを低炭素水素に変換することが鍵を握ることは明らかです。

私たちは未来を見据え、現実的で安定したインクルーシブなエネルギー移行に必要となるアイデアや実用的なソリューションを創り出すという役割をしっかりと果たしていきます。画期的な突破口となるひとつひとつの取り組みが、すべての人の明るい未来に近づく一歩一歩なのです。そして、そこに到達するまで私たちが立ち止まることはないでしょう。

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たった一つのシンプルな疑問 –どのように?– この疑問が、私たちのすべての行動の原動力です。

  • 世界のCO2排出量低減に貢献する炭素回収技術の進歩とは?

  • 増大する世界のエネルギー需要に対応する効率化ソリューションの開発とは?

  • 明るい未来に向けた女性の職場参加とリーダーシップの機会づくりとは?

  • 日々の活動を支えるエネルギーの安定供給をするには?