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炭素繊維によるソリューション

炭素繊維は卓越した強度と汎用性を備えており、多くの産業において理想的な製造材料となっています。

当社は、世界的なエネルギーおよび素材の需要に対応するため、非金属ソリューションの革新を進めています。炭素繊維強化製品はその一例であり、軽量で耐久性に優れ、さらに耐腐食性や耐熱性も兼ね備えています。また、炭素繊維そのもの、ならびに炭素繊維製品のコスト低減を実現し、新たな用途の可能性を広げることが期待される新技術の開発にも取り組んでいます。

炭素繊維とは

人の髪の毛よりも細く、アルミニウムよりも軽く、そして鋼鉄よりも強い――炭素繊維は卓越した強度と汎用性を備えており、多くの産業において理想的な製造材料となっています。

一般的に炭素繊維は、ポリアクリロニトリル(PAN)と呼ばれる有機合成ポリマーを原料として作られ、強く結合した炭素原子が連なったフィラメント(繊維状の糸)の形態をしています。これらを撚り合わせることで強度が生まれ、その後、織物に加工したり、樹脂と組み合わせて成形することが可能です。炭素繊維製造業者はそれぞれ独自の特性を持つ繊維を設計しており、その製造方法は厳重に管理された企業秘密となることも少なくありません。

炭素繊維の利点とは?

強度を維持しながら軽量化を実現できる点は、非常に大きな意義を持ちます。例えば自動車分野では、車両重量の軽減によって、性能や安全性を損なうことなく、燃費の向上や排出ガスの削減につながる可能性があります。炭素繊維は金属と比べて比強度および比剛性に優れており、さらに炭素繊維で強化された複合材は、施工の迅速化によるコスト削減、耐腐食性、さらには保守・運用コストの低減といった、幅広い実用的な利点をもたらします。

軽量部材の採用、構造剛性の向上、メンテナンス周期の延長、そして生産性の改善を求める産業において、炭素繊維の持つ独自の特性は大きな魅力となっています。 

炭素繊維の特長:

高比強度

耐腐食性・耐薬品性

高温耐性

低熱膨張

高い耐久性とサステナビリティ

炭素繊維はどのような産業で使われているのでしょうか。

高級自転車のフレーム、F1カーのシャシー、プロペラブレード、ドローン部品、航空機の翼、チューブ材、自動車部品、エネルギー貯蔵装置、風力タービンのブレードなどは、炭素繊維強化複合材料が広く用いられている製品のほんの一例にすぎません。

1960年代後半以降、航空機には炭素繊維強化部品が採用されてきました。

航空宇宙分野は、その卓越した軽量化性能を背景に、炭素繊維をいち早く採用した産業の一つです。石油・ガス産業においては、パイプラインやケーシングの補強に炭素繊維が使用されており、腐食を抑制するとともに、高コストな交換による環境負荷の低減に貢献しています。また、スポーツ用品や楽器などを製造するレクリエーション関連産業では、従来の木材などに代わる、より安定性が高く軽量な素材として炭素繊維が採用されています。一方で、高級車やモータースポーツの分野では、車両の軽量化、安全性の向上、燃費効率の改善を実現するために活用されています。

しかしながら、炭素繊維の製造プロセスは難易度が高く、比較的高コストであるため、一部の量産市場では導入が進んでいないのが現状です。このため、コスト低減が実現されれば、乗用車のような高級市場以外の分野や、さまざまなクリーンエネルギー用途においても、炭素繊維は有効な解決策となり得ます。複数の技術プロバイダーによる低コストの炭素繊維複合材製品の継続的な投入と並行して、アラムコは研究開発の取り組みを通じて、炭素繊維材料の高コストに関する課題の解消に取り組んでいます。

アラムコの取り組み

炭素繊維が高価である主な理由は、その製造プロセスに膨大なエネルギーを必要とする点にあります。現在では、炭素繊維を精製するために摂氏約1,500度(華氏2,730度)という高温に達する炉が必要とされています。

炭素繊維や炭素繊維関連製品のコストを引き下げることは、アラムコにとって、この素材の新たな市場の創出と発展を主導する大きな機会となります。

当社は複数のパートナーと連携し、炭素繊維の製造に必要なエネルギー消費の削減に取り組んでおり、特定のグレードでは製造コストを50%低減することを目指しています。これが実現すれば、高付加価値分野にとどまらない形で炭素繊維の普及を加速させる可能性があります。

アラムコの炭素繊維活用方法

当社は2017年から炭素繊維系複合材料を採用しています。現在、これらの材料は、パイプラインや坑内ケーシングの補修など、当社の事業全般にわたるさまざまな用途で活用されています。

熱可塑性複合管(Thermoplastic Composite Pipes)

坑口用ライザー(パイピングシステムの一種)は、新たに掘削された油井を予定通り稼働させるうえで重要な役割を果たしますが、多くの場合、リグが現場を離れた後に製作が行われるため、製造に時間を要するという課題があります。2018年、当社は坑口用ライザーとして、炭素繊維強化・接着型の非金属パイプ「熱可塑性複合管(Thermoplastic Composite Pipe:TCP)」を導入しました。TCPは、従来の非金属複合管や従来型の鋼製パイプラインと比較して、より高い耐圧性能を備えています。また、柔軟性や断熱性にも優れ、浸透に対する耐性に加え、二酸化炭素や硫化水素の影響に対しても高い耐性を有しています。

腐食への対応

地上パイプラインや地下ケーシングにおける金属腐食への対応には、高額なコストが伴う場合があります。こうした課題に対し、当社は2018年より炭素繊維を活用した補修を導入し、腐食によって損なわれた地上ケーシングの構造健全性の回復・補強に取り組んでいます。

強化熱硬化性樹脂(RTR)

ディーゼルや石油などの精製製品を、非導電性の非金属パイプで輸送する際には、配管の長さ方向に沿って放電されない静電気が蓄積する可能性があります。2020年には、炭素繊維を組み込んだ強化熱硬化性樹脂(RTR)パイプの試験導入を行い、帯電の低減とシステム全体の健全性向上に成功しました。

未来に向けて:サウジアラビアにおける炭素繊維生産の強化

石油化学分野におけるグローバルリーダーを目指す当社のダウンストリーム戦略の一環として、アラムコはTotalおよび化学企業INEOSとともに「プロジェクト・アミラル(Project Amiral)」を推進しています。本プロジェクトでは、アラビア湾に面したジュべイルにINEOSが建設中の新プラントにプロピレンを供給する予定です。プロピレンは、多くのプラスチックの製造に不可欠な原料であるアクリロニトリルの製造に使用されます。アクリロニトリルは、炭素繊維の最も一般的な原料であるPAN(ポリアクリロニトリル)の基礎となる重要な素材です。INEOSのアクリロニトリル製品により、より低コストでPANの生産が可能となり、その結果として炭素繊維のコスト低減につながります。

 
炭素繊維素材がサウジアラビアにとって重要であることを踏まえ、アラムコの炭素繊維製造投資チームは現在、サウジアラビアにおける産業投資プログラム(アラムコ ナマート)を通じて、炭素繊維製造施設の設立に向けた国際的なパートナーとの協業を進めています。炭素繊維の供給体制が整うことで、多様な産業分野における非金属製品の導入が拡大・加速するだけでなく、さまざまな技術的課題の解決や、現地化の推進、雇用創出にも貢献することが期待されています。

 

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