鳥取大学乾燥地センター、サウジアラムコを訪問

シャイバ生物保護区でアラビアカエルアタマアガマ(Arabian Toad-headed Agama)の写真を撮る山中典和教授。

アラムコ・アジア・ジャパン(AAJ)は、サウジアラムコのCSR(企業の社会的責任)の枠組みの中で、2016年から鳥取大学乾燥地研究センター(Arid Land Research Center : ALRC)と提携し、ALRCの乾燥地研究活動を支援しています。 

文部科学省から「共同利用・共同研究拠点」の認定を受けているALRCは、乾燥地研究を専門とする日本で唯一の機関であり、その活動は国際的に高い評価を得ています。 

この度、同センターはAAJを通じ、新たにサウジアラムコの環境保護部門(Environment Protection Department: EPD)と接点を築きました。EPDは長年にわたり、サウジアラビア国内の砂地や砂漠に生息する生物の効果的な保護管理分野において実績を上げています。 

百聞は一見にしかず

EPDの主催による今回の3日間のプログラムは、ダーラン(Dhahran)本社での会議で始まりました。主催者であるEPDは、生物多様性の保護および促進プログラムを発表し、ALRCのセンター長、山中典和教授は、中国の道路に沿った植林プロジェクトについて説明しました。このプロジェクトは、サウジアラビア国内でも同様の問題が生じているため、EPDから高い関心を得ました。 

陸域生態学者のクリス・ボーランドが率いるEPDのチームは、今回サウジアラビアを訪問した日本の派遣団のために現地視察ツアーを企画し、つい先ごろ野生生物保護区に指定されたシャイバ(Shaybah)野生生物保護区を最初の訪問先としました。EPDとシャイバ生産部門の専門家は、絶滅危惧種であるアラビアオリックス、アラビアサンドガゼル、ダチョウの個体数を国内で再び増やすため、保護区においてこれら3種類の動物を保護していることを説明しました。山中教授は、「石油・ガス会社であるサウジアラムコの環境に対するコミットメントには、本当に感心します」と述べています。 

EPDはまた、伝統的な小麦の生産を視察するため、日本からの派遣団をアブハ(Abha)の山岳地帯にも案内しました。小麦を専門に研究しているALRCの辻本壽教授は、地元の農家の話を聞き、在来種について調査する機会を得ました。 

「中東産の農作物がどのようにして東アフリカに伝播していったのかということには、前から興味がありました。伝統的な穀作農業を行っているアブハへの今回の訪問は、穀物の栽培時期から外れてはいましたが、なんとかオート麦や小麦、マカロニ小麦を見つけることができました。これらの多くの遺伝子型は在来種のようでした。栽培の時期にこの地域を再び訪問すれば、さらなる情報収集ができるでしょう。サウジアラビアの農業政策についての知識を深め、将来の共同研究につながるような共通点を見出したいと思っています」と、辻本教授は語ります。 

ALRCは、これまでも確立されたネットワークを活かし、海外で数多くの研究を行ってきましたが、サウジアラビアだけが未開拓の場所として残されていました。ですから、今回の訪問は極めて特別なものとなりました。山中教授は、「シャイバの赤い砂丘やアジール(Asir)山地周辺の渓谷の植生、含塩平地のサブハ(sabkhas)などを見ることができ夢のようでした。これらの場所に存在する植物種は、他の場所とは大きく異なっていましたが、でも中には、アジアの砂漠で以前に見たものと類似した植物もありました。砂漠を通して、サウジアラビアと東アジアとのつながりを感じることができました」と述べています。 

クリス・ボーランドは、「世界中の乾燥地で活動する人々や会社にとって、砂漠化との闘いは最大の課題の一つです。これはグローバルな問題であり、グローバルな活動によって取り組んでいかなければなりません。ですから、アジアやアフリカで何十年にもわたり、砂漠化の研究を続けてきた乾燥地研究センターの経験を学ぶことは、非常に貴重なことです」と述べています。 

明日への知識を共有する

ALRCとサウジアラムコのEPDはともに、新たに培われた関係を今後も維持したいと願っています。今後、相互の関心と利益が一致する分野が見出され、最終的には、人類と自然との尊い絆が改善されることが望まれます。 

「サウジアラムコが、地元の植物種を植えることによる道路の緑化など、重要な問題について考えていることを知り、大変嬉しく感じました。このような活動は、自然環境の再生における現代のグローバルトレンドとなっています」と、辻本教授は語ります。 

山中教授は帰国後、「ALRCには、ドローンを使ったデータ収集や大型動物の活動のモニタリング、植物を利用した砂漠の砂の移動の制御など確固とした実績があります。これらの手法のいくつかをサウジアラムコの特定プロジェクトに大規模に適用することで、生態系の監視と管理を支援することが可能になると思います」と述べています。 

AAJ代表取締役社長アンワール・ヒジャズィは、「日本で始まったALRCとの絆が、今こうして何らかの形になりつつあり、その研究領域においてサウジアラビアとつながる方向へと進んでいるのを見て、とても嬉しく思い、感激しています。彼ら専門家らにより、何らかの形で共同研究が将来的に実現することを楽しみにしています」と述べています。