鳥取大学の豊島良太学長とアラムコ・アジア・ジャパン代表取締役社長アハメド・アルクネイニは、鳥取市において乾燥地の共同研究を行う合意書に調印しました。
これは、今まで世界中の様々な地域を対象にした乾燥地研究および科学発展分野における鳥取大学乾燥地研究センター(ALRC)の功績によるものです。LRCは、文部科学省から「共同利用・共同研究拠点」の認定を受けた、乾燥地研究を専門にする日本で唯一の学術的研究機関です。
砂漠が、サウジアラビアの国土を象徴するものであることは良く知られています。一方、日本は豊かな緑と水で知られており、国内に砂漠は存在しません。しかしながら、日本の沿岸の30か所以上に砂丘が存在します。これらの砂丘は、風に運ばれた砂が蓄積して作り出されたもので、土塁や堤防のような地形をしています。ALRCが拠点を置く鳥取県の砂丘は、東西16㎞、南北2.4kmにわたり広がっています。海岸沿いに堆積する鳥取砂丘は、風や潮流、そして山から海へ流れ込む川が運んできた砂により形成されました。
砂丘における日本の農業開発の一環として、風塵と灌漑という二大課題に取り組む科学的プロジェクトが20世紀初頭に組織レベルで立ち上げられ、段階的に現在のALRCへと進展していきました。 世界規模で砂漠化が進行している状況を考慮し、ALRCはその後研究範囲をグローバルベースでの乾燥地研究にシフトしました。
アラムコは、企業の社会的責任(CSR)活動の一環として、総合的な砂漠化対策、環境保護と農業生産分野におけるALRCの研究、情報発信、能力養成を支援していきます。また両者は、研究者間の国際的ネットワークの促進に向けて協力していく予定です。これには、サウジアラムコの環境保護部門とのコラボレーションの可能性も含みます。
調印式で、アルクネイニは砂漠の効果的な管理と絶滅の危機に瀕したオリックスなどの砂漠に生息する動物の保護に対するサウジアラムコの長年の取り組みに触れ、こう語りました。
「アラムコとALRCの間に新たにかけられた橋が、日本に限らず、乾燥地を有する世界の他の国々、そしてもちろんサウジアラビアにとっても有益な結果をもたらすことを期待します」
豊島学長は、「実績が認められ、非常に光栄で感激しています。この事業により、乾燥地研究という共通の使命を持つ2つの組織間の交流が促進されるでしょう」と、述べました。