
ガス生産
私たちが独占的なアクセス権をもつサウジアラビアのガス資源を貴重なエネルギー源として、世界中の人々に現在そして将来的にも安定して提供し続けるために必要な技術とノウハウを、アラムコは有しています。
当社はガス生産を通じて通常の販売用ガス、天然ガス液(NGL)、エタン、そしてコンデンセートを生産しています。これらは原油生産を補完すると同時に、精製や石油化学製品の分野に対する原料ともなります。
私たちは1975年に、国内のガス生産・処理施設をつなぐ広範なパイプラインのネットワークとしてマスター・ガス・システム(MGS)の開発を始めました。40年以上前に確立されたこのMGSがサウジアラビアの産業ネットワークの屋台骨となり、経済開発と多様化を支えています。
貴重な多目的エネルギー源としての天然ガス
天然ガスの用途は、発電に限られたものではありません。天然ガスからは、化学肥料の生産に必要なアンモニアや、低炭素エネルギーの供給に今後画期的な活躍が期待される低炭素水素を生産する上での主要な原料にもなります。
さらに私たちはガスプログラムを通じて、発電や海水淡水化その他の各種産業から石油化学製品の分野まで、サウジアラビア国内における経済の多様化や成長を支えています。

ガス生産の強化
アラムコはこの数年間、天然ガスの日量での生産量と処理能力の強化を図ってきました。また今後もガス事業の拡大を推進し、サウジアラビア国内の非在来型ガス資源の開発を加速するとともに、さらに低価格、低炭素排出量のエネルギーに対して増え続ける国内需要を支える計画も視野に入れています。
その指針としては、2030年までに当社のガス生産量を2021年の1.5倍(日量101億標準立方フィート(scfd))以上に伸ばすことを目指します。
その後ろ盾となるのが、ガス処理能力の強化に対する継続した投資です。これにより当社の日量処理能力は、2000年の20億scfdから2023年末時点で190億scfdまで増大しました。
2024年の年頭時点で当社のガス処理施設にはベリー、ファディリ、ハラダ、ハウィヤ、クルサニヤ、ミドヤン、シェドガム、シャイバ、ウスマニヤ、ワシットの各プラントがあり、北アラビアや南ガワールにも非在来型資源の施設があります。
テクノロジーの位置づけ
私たちは戦略として常に、スピード感のある天然ガス資源の開発を優先的に進めています。この将来的な開発を支える役割を担うのが、第四次産業革命(4IR)の技術の活用です。機械学習やビッグデータ解析など、4IR技術によって生産率の向上やエネルギー効率の改善が期待されます。この目標に向かって、アラムコでは統合型ガス・アドバンスト・プログラムを打ち出し、油層への到達ルートを増やしたり油井の生産性を高めるための深層水平掘削技術など画期的ソリューションの加速的な実用化を進めています。
また無人飛行機(UAV)やロボットを活用し、安全性や作業効率の向上に役立てています。これらの技術を駆使した当社ウスマニヤ・ガスプラントでは、点検にかかる時間を9割削減、また安全・緊急対応のスピードも5%向上しました。ウスマニヤ・ガスプラントは、アラムコの施設の中でもいち早く、4IR技術を先進的に活用する施設として世界経済フォーラム(WEF)に認定されました。
