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アハマッド O. アルコウェイターによる2025年STSフォーラムでのご挨拶

テクノロジー&イノベーション担当エグゼクティブ・バイス・プレジデント アハマッド O. アルコウェイター

ニュース|日本、京都|

ご列席の閣下、ご来賓の皆様、おはようございます。

本日京都で再びSTSフォーラムに参加できることを大変嬉しく思います。 小宮山様には、今年も素晴らしいイベントの議長を務めていただき、心より感謝申し上げます。 また、「サステナビリティ」というテーマでこのパネルを進行してくださるデボラさん(駐:デボラ・ウインス=スミス様)にも感謝いたします。

今年は、サウジアラビアと日本の外交関係が70周年を迎える特別な年です。 両国はゼロカーボンの未来に向けて取り組んでおり、2023年には「クリーンエネルギー協力のためのライトハウス・イニシアティブ」を立ち上げました。 そして今年、サウジアラビアにとって大変光栄なことに、天皇陛下より、キング・アブダッラー科学技術大学のカルロス・ドゥアルテ教授が「日本国際賞」を受賞されました。 受賞分野は「サステナビリティ」、特に「ブルーカーボン」に関する研究です。

エネルギー業界において、ゼロカーボンやサステナビリティについて語る際には、ほとんどの場合「エネルギー移行」が文脈となります。 「理想的なエネルギーミックスとは何か?」「どれだけ早くそこに到達できるか?」という問いが中心です。 しかし、アラムコではこの問いを少し違った視点で捉えています。 「将来における理想的なエネルギーミックスとは何か?」そして「そこに到達するために今必要な現実的なミックスは何か?」 目的地だけでなく、その道のりがサステナビリティを損なうことなく、手頃で安全である必要があると考えています。

現在、多くの国々が非常に高い電気料金に直面しており、驚くべきことに世界的な石炭需要は過去最高を記録しています。 アラムコでは、現実的なアプローチを提唱しています。 それは二つの軸を持つ移行です。 一つは、排出量を抑えつつ、手頃で持続可能かつ安全な従来型エネルギーを供給すること。 もう一つは、再生可能エネルギーや新エネルギー・素材への投資と拡大です。 これらは長期的な目標達成のために必要不可欠です。

世界のエネルギーシステムの規模を考えると、新エネルギーも従来型エネルギーも、今後数十年にわたり必要とされるでしょう。

代替エネルギーにはすでに数兆ドルが投資されていますが、現在でも世界のエネルギーミックスの約8割は石油・ガス・石炭に依存しています。 これは20年前とほぼ同じ割合です。

気候目標や長期的な排出量抑制に取り組む際には、ライフサイクル全体を考慮し、技術を包括的に取り入れたアプローチを政策に反映させることが不可欠です。 そうしなければ、排出量が減るどころか、逆に増えてしまうリスクがあります。

そのため、私たちは低炭素ソリューションの開発と拡大に力を注いでいます。 CO2の回収・貯留 (CCS)に投資し、サウジアラビア東海岸に世界最大級のCCSハブを建設中です。

私たちは現在、新たな二酸化炭素回収技術や高度な吸着材料への投資を進めており、AIを活用した効率改善によって、バリューチェーン全体の排出量削減にも取り組んでいます。

モビリティ分野では、日本を含む世界の自動車メーカーと連携し、新エネルギー車技術の開発に取り組んでいます。これは、効率性向上において非常に重要な分野であり、特にハイブリッドエンジンにおいて大きな進展が見られています。

ほんの数年前まで、ハイブリッドエンジンの熱効率41%が業界の最高水準でした。しかし、先進的なエンジン技術への投資により、現在では46%に近づいており、将来的には50%に達する可能性もあります。

この改善だけでも、輸送分野、さらには世界全体において、最も費用対効果の高い排出削減を実現する可能性があります。

新エネルギー分野では、低炭素燃料、⽔素、エネルギー貯蔵、そして直接空気回収(DAC)などの先進的な炭素管理技術への投資を進めています。

数年前には、15億ドル規模のサステナビリティ・ベンチャーキャピタルファンドを設立しました。これまでに、炭素回収、低炭素燃料、新エネルギー、先進材料、その他の破壊的技術に取り組む世界中およびサウジアラビア国内の40社以上に投資しています。

例えば、サウジアラビアのTerraxy(テラキシ―)という革新的なスタートアップに投資しています。この企業は、廃棄バイオマスを土壌改良用のバイオ炭に変換し、植物の成長と水分保持を促進すると同時に、大気中の二酸化炭素を数百年にわたって安定的に貯留する技術を開発しています。

太陽光や風力などの新しい再生可能エネルギーについても、私たちは積極的に投資しています。今年、Aramcoはサウジアラビアの主要企業とともに、12ギガワット規模の太陽光・風力発電プロジェクトへの投資契約を締結しました。これはムニール総裁(駐:サウジアラビア王国・アブドゥルアジーズ王立科学技術都市(KACST)総裁)が強調された通りです。

また、低排出電力発電のための天然ガスなど、新たな低CO2排出エネルギー源の開発も進めています。再生可能エネルギーの普及における最大の障壁であるエネルギー貯蔵のコスト低減にも取り組んでいます。

今年初めには、過酷な環境下での太陽光発電のバックアップ電源として、世界初の鉄-バナジウムフロー電池の導入を達成しました。さらに、ニッケル水素や熱エネルギー貯蔵などの長時間貯蔵技術にも投資しています。

これらすべての技術革新において、パートナーシップは不可欠です。私たちは常に世界中で新たな連携を模索しています。これまでに紹介した技術、そしてこれから登場する多くの技術は、将来の持続可能なエネルギーミックスの中核を担うことになるでしょう。

そしてこれには、政策立案者、学術界、産業界、技術開発者、スタートアップ、投資家、金融機関など、ここSTSフォーラムに集まる多くの関係者の強力な連携が必要です。

最後に、政府は、石油、リチウムイオン電池、AIへのアクセスなど、あらゆるエネルギーの安全保障を支える相互依存と信頼の強化を目指すべきです。

投資は信頼なしには成功しません。持続可能な技術への投資こそが、現在と未来をつなぐ糸となるのです。

そして私たちは、ゼロカーボンへの道を、可能性ではなく、必然として体験することになるでしょう。

ありがとうございました。

 

メディア連絡先

本件に関するすべてのメディアからのお問い合わせは、アラムコのメディア担当部署が承ります(英語)

Email: media.inquiries@aramco.com

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