アラムコとENOWAが初の合成液体燃料(e-fuel)実証プラントを開発

10月24日、リヤドにおける第7回「未来投資イニシアティブ」フォーラムで署名に臨む、アラムコのテクノロジー&イノベーション担当エグゼクティブ・バイス・プレジデント、アハマッドO.アルコウェイター(Ahmad O. Al Khowaiter)(左)とENOWA最高経営責任者、ピーター・テリウム(Peter Terium)(右)
  • 施設はNeomにあるENOWAの水素イノベーション開発センター(Hydrogen Innovation and Development Center)に建設

 

世界的なエネルギーと化学の総合企業であるアラムコと、Neomのエネルギー・水事業者であるENOWAは、初の合成液体燃料(e-fuel)実証プラントを建設・設置するための共同開発契約を締結しました。ENOWAの水素イノベーション開発センター(HIDC)内に設置されるこの施設は、再生可能ベースの水素と回収された二酸化炭素(CO2)から低炭素の合成ガソリンを日量35バレル生産し、技術的実現可能性と商業的実行可能性の実証を目指します。

循環型炭素経済アプローチに基づいて構築された合成液体燃料(e-fuel)技術は、従来の燃料と比較してCO2排出量をライフサイクル全体で70%以上削減できる可能性があります。この統合施設の完成後には、ティッセンクルップ・ウーデ(ThyssenKrupp Uhde)社開発の独自技術を用いてグリーン水素とCO2から1日当たり12トンの合成メタノールを生成する予定です。生成された合成メタノールはその後エクソンモービル社の流動床メタノールからのガソリン合成(Fluidized-Bed Methanol-to-Gasoline(MtG))技術を用いて低炭素ガソリンに変換されます。

HIDCでは、再生可能エネルギー源を動力源とする敷地内の20メガワット電解装置を利用してグリーン水素も生産する予定です。ENOWAが設立するイノベーションセンターは、地域における風力と太陽光による商業的発電および利用の極めて大きな可能性を示すものとなるでしょう。

アラムコでは数年間にわたり低炭素合成燃料の技術を研究してきました。Neomの実証プラントは、合成燃料生産の最適化を目指した集中的な研究開発努力の成果です。  同様に、ENOWAでは合成液体燃料(e-fuel)が循環型炭素経済の将来の重要なポートフォリオ要素であると考えており、排出量の削減に貢献しながら将来の大規模プロジェクトのための次世代グリーン燃料技術の検証を進めています。

アラムコのテクノロジー&イノベーション担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントであるアハマッドO.アルコウェイター(Ahmad O. Al Khowaiter)は、次のように述べています。「合成燃料は、世界中の自動車の脱炭素化を加速する重要な役割を果たすことができます。パートナー企業と協力してこの理念の実現に向けた有望な道筋を示すことができることに大変うれしく思っています」

共同開発契約により、Neomがプラントの建設を監督し、アラムコとENOWAが関連研究プログラムの運営と投資を共同で監督することになります。 

ENOWAの最高経営責任者であるピーター・テリウム(Peter Terium)は、次のように述べています。「このパートナーシップは、ENOWAにとってもう一つの重要な節目です。グリーン水素による循環型炭素経済の世界的リーダーシップをサウジアラビアが固めようとしている今こそ、先駆的で持続可能な技術の変革的能力を示す絶好の機会です。ENOWAは、Neomの最先端合成液体燃料(e-fuel)施設の開発でアラムコと協働できることを楽しみにしています。これによって革新が促され、将来のクリーンエネルギー供給の経済的実施が後押しされるでしょう」

ENOWAの水素・グリーン燃料担当マネージングディレクターであるローランド・ケプナー(Roland Kaeppner)は、次のように述べています。「このプロジェクトは実際に循環型炭素経済が機能する具体例であり、ENOWAの取り組みの一例でもあります。私たちは科学的イノベーションの支援を通じて気候変動対策を迅速に拡大するサウジアラビアの使命を支えます。HIDCの最初のアンカーテナントの一つであるこの施設は、最新技術で革新を続ける最先端プロジェクトの実現という、アラムコとの共通の志を力強く示すものです」
この統合合成液体燃料(e-fuel)施設は、合成ガソリンのバリューチェーンの技術的実現可能性と商業的実行可能性を実証するものであると同時に、低炭素合成燃料に関わるアラムコの広範な研究、開発、実証の取り組みの一環である重要なプロジェクトです。

2022年、アラムコはフォーミュラ2およびフォーミュラ3と提携し、このモータースポーツのフィーダーシリーズの燃料配合に合成成分の採用を検討すると発表しました。これとは別に、アラムコとレプソル(Repsol)社は自動車と航空機用の低炭素合成ディーゼルおよびジェット燃料の生産実証を検討する予定です。
アラムコの輸送技術研究開発部門は、パリ、デトロイト、上海およびダーラン本社に拠点を置き、より信頼性が高く安価で持続可能な輸送の未来を実現するための多様な技術を推進しています。

 

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