CEO、日経・世界経営者会議に登壇:アラムコの輝かしい未来への鍵は若きリーダーたちが握る

社長兼CEOのアミン・ナセルは「私が今個人的に最も情熱を注いでいること」として、若き従業員たちに向けて、彼ら自身、そして会社の将来に対する準備を進めていることを、そのように表現しました。

ナセルは、東京で行われた日経フォーラム「世界経営者会議」においてオンラインで講演を行い、アラムコの若き従業員たちこそが会社の未来の中核であると折に触れて指摘しました。

「当社には大勢の若い人材がいます。彼らを会社の将来のために育て、そして逆に会社の体制を彼らのために整える。-それが、私が今個人的に最も情熱を注いでいることです」

フォーラムには、世界で最も成功を収めている企業の幹部メンバーが複数出席し、経営理念や企業戦略、最新の国際的経営事情について話し合いました。

聴衆者は、アラムコが考える若きリーダーにとって不可欠な、鍵となるスキルを明確に理解しました。

「経営者を見て評価するとき、優れた経営者の特徴をひとつ挙げるとしたら、それは人に関連するスキルということになるでしょう」とナセルは言います。

出席者は、アラムコの労働力の60%から70%を若い従業員が占めている現状について聞き、CEOはさらに、若手社員の希望を最高幹部に確実に伝えるためにYoung Leaders Advisory Boardが果たす、極めて重要な役割について説明しました。

「この諮問委員会は若い人材で構成されており、将来的に我が社を担う若き従業員たちとのより強い結びつきがあります。そういった若い従業員の考え方、何が彼らをやる気にさせるのか、逆に何がそうでないのかを理解することは重要です」

「彼らは執行役として私たちが若い従業員のニーズ、目標、願いを見極めるのを手助けしてくれます」

ビジョン2030が力強く前進

CEOはフォーラムの参加者に対し、サウジアラビアが掲げるビジョン2030の支援においてアラムコが極めて重要な役割を果たしていることを伝えました。ビジョン2030とは、国内の成長のためにさまざまな部門の発展を目指す取り組みです。

民間部門への投資のためにビジネスに優しい国内環境を整えている点に触れ、アラムコが果たしている重要な役割について指摘しました。

「当社はパートナーとともに国内に多くの合弁会社を創設し、生じている数々の規制や国内で完全に転換を遂げたエコシステムをフル活用しています」

ナセルは、サウジアラビアには素晴らしいインフラと地域内の繋がりがあると聴衆に語りました。

「経営者を見て評価するとき、優れた経営者の特徴をひとつ挙げるとしたら、それは人に関連するスキルということになるでしょう」

サウジアラムコ社長兼CEOアミン・ナセル

「歴史的な発表」

ナセルは講演の冒頭で、国が2060年までに排出量ネットゼロを達成するとした皇太子殿下による歴史的な発表に、気持ちが高ぶる思いだと述べました。

「これは歴史的な発表です。私たち全員にとって大きな意味を持ちます。そして国内や世界でアラムコや他の企業が発表を踏まえた行動をしていくことでしょう」

ナセルは、この発表が世界最大の産油国から行われたことに触れた後、アラムコとしても2050年までに事業活動からのCO2排出量をネットゼロにするという目標を発表でき、大変喜ばしい思いだと述べました。

石油価格がここ7年間で最高値に達する中、エネルギー市場についてのより広範なコメントをモデレーターに求められたナセルは、需要は堅調であると述べました。

「予測にばらつきはありますが、この冬はガスから石油への切り替えが50万バレルかそれ以上に達する可能性があると、複数の分析によって示されています。IEAによると、予測される2021年第4四半期の需要は日量9,900万バレル近くになります。来年に目を向ければ、当社ではCOVID-19前のレベルを超え、1億バレルを超えると見ています」とナセルは言います。

「多くの国際石油企業が石油ポートフォリオの縮小を模索し、一部の生産国がアップストリーム投資の復活に苦慮している中、アラムコは原油生産能力を2027年までに日量1,200万バレル(bpd)から世界トップレベルの1,300万bpdへの引き上げに着手しており、その恩恵を得てマーケットシェアを拡大する状況となっています」

さまざまな速度での転換

エネルギー転換に触れ、ナセルは今から2050年までの間に世界のエネルギー利用者は推定でさらに20億人増えることになると述べました。そして人口増加の主役は、エネルギー転換がはるかに遅れると見込まれる開発途上国です。「ですから私は、石油とガスの需要は今後何十年にもわたって堅調だろうと予測しています」

「さまざまな速度での転換を予測する必要があります(中略)開発が進んだ国と遅れた国のニーズは異なり、それぞれに固有の事情があるため、画一的な解決方法は適切ではありません。

例えば、解決策に十分なお金をかけられると思われるヨーロッパ向けの転換の青写真は、開発途上国にとっては適切ではないかもしれません」

包括的なエネルギー政策

「再生可能エネルギーや電気自動車などの代替エネルギーが、世界人口の増加に伴うエネルギー需要の高まりを満たすことはまだ難しいでしょう(中略) 世界にはより包括的な (環境に優しくクリーンな) エネルギー政策が必要なのです」とナセルは言います。

「そうした転換が進むには時間がかかります。ですからガソリンとディーゼルは引き続き必要とされるでしょう」

ナセルは、今から10年後、20年後の内燃機関は、現在市場に出回っているものと比べて違うものになっているだろうと指摘しました。

「これは継続的改善であり (中略)この移行が行われるまで同時並行的に行う必要があります(中略)長く複雑なのです」

従って石油とガスは今後も長くアラムコにとって重要な事業であり続けるだろうと、ナセルは言います。

二酸化炭素排出量の削減

「当社では今後も、石油・ガスの二酸化炭素排出量をさらに削減する取り組みを続けます。二酸化炭素排出量を削減する取り組みは、複数の戦略を組み合わせて遂行されます。この中にはCO2回収、ガスから水素、石油から化学製品(の製造)などが含まれます」とナセルは言います。

排出量を削減して2050年までにネットゼロという大きな目標を達成するために、一年以上にわたって取締役会とともにそうした戦略に取り組んできたと、CEOは参加者に語りました。

「自然を利用した解決策、そしてCO2回収および隔離を組み合わせて(中略)ガスから水素への変換を実現します。ブルー水素にはCO2回収および隔離が必要になります。石油から化学製品への変換は、当社の事業の主要な部分になるでしょう。(中略)石油向けの不燃焼用途、(ここに含まれる) 建設向け、自動車産業向けの非金属、そして世界的な非金属のその他用途。これは今後増加して当社の製品に付加価値を与えるでしょう」

「当社のアップストリームでの排出量、二酸化炭素とメタンの強度に目を向けると、業界でも指折りの低い水準です。これは当社の炭化水素(の組成)が異なっているためにそうなったのではありません。それはすべて投資と戦略、そして二酸化炭素排出量の削減に向けた努力のおかげです。

私たちのコミットメントは、スコープ1とスコープ2に向けた取り組みです。これは当社が操業によって直接排出するものと、供給された電気、熱・蒸気の使用に伴って間接排出されるものです」とナセルは言います。

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