サウジアラビア初の燃料電池車用水素ステーションが運営開始:サウジアラムコ、Air Products社と共同で

右から左:サウジアラビア初の水素ステーション開所式でのアミン・ナセル、セイフィ・ガセミ、キング・ファハド・石油鉱物資源大学(King Fahd University of Petroleum and Minerals)のサヘル N. アブドゥルジャワド(Sahel N. Abduljauwad)副学学長

サウジアラムコは6月18日、サウジアラビア初の燃料電池車用水素ステーションの運営をAir Products社(APD)と共同で開始しました。

ダーラン・テクノバレー・サイエンスパーク(Dhahran Techno Valley Science Park)に新設のAPDテクノロジーセンター内に開設されたこの水素ステーションでは、トヨタの燃料電池車「MIRAI(ミライ)」6台に高純度の圧縮水素を供給する実証実験が行われます。

水素に対する関心が世界的に高まる中、この発表は行われました。国際エネルギー機関(IEA)が先週発表した報告書では、水素は世界のエネルギー課題に取り組みながら排出量削減にも貢献するとして、大いに期待されています。 

サウジアラムコの社長兼CEOアミン・ナセル(Amin H. Nasser)は、「APDならびに当社にとって、この実証実験は輸送分野における水素の可能性と、サステナブルな燃料としての将来性を示す絶好の機会です」と述べ、「このたびの水素ステーション開設は、石油から水素を取り出す技術の実用化に向けた重要な一歩です。サウジアラムコは、炭素排出量の削減と気候変動問題の解決への長期的な取り組みの一環として、画期的な技術とソリューションの創出に引き続き注力してまいります」 と語りました。

APDの会長、社長兼CEOのセイフィ・ガセミ(Seifi Ghasemi )氏は、「ご存じのとおり、私達の世界では高まるエネルギー需要を満たしながら、サステナブルな社会を実現し、環境問題に対処しなくてはなりません。水素技術や燃料電池技術は、まさにそのソリューションの一つと考えられています。サウジアラビアにおける、サステナブルな炭化水素による燃料電池車用水素供給システムの構築と開発に向けて、サウジアラムコと協力できることを光栄に思います」と述べました。

 この新たな水素ステーションは、サウジアラムコの産業界での実績と技術力、APDの水素燃料分野でのノウハウと経験が融合したものです。APDの水素燃料供給技術SmartFuel®を採用し、トヨタの燃料電池車「MIRAI」に圧縮水素を供給します。プロジェクトの実証段階で収集したデータは、この新しく多様な用途に対応する輸送技術を今後地域に応用していくにあたり、価値ある情報となります。 

トヨタの「MIRAI」の航行可能距離は500キロで、水のみを排出し、水素充填時間も従来型の電気自動車の1時間からわずか5分に短縮されると予想されています。クリーン、安全で、誰もが利用できるエネルギーの未来に、水素燃料電池車が大きく貢献することが証明されるでしょう。