- サウジアラムコの石油精製・石油化学製品事業の統合を促進、SABICにエネルギー産業での戦略的株主と、成長機会の拡大をもたらす
- 競争力を高め、急成長する石油化学製品事業に対応するために、グローバル企業としての両社の強みと利益を連携
- 現在、石油化学製品の生産能力は、サウジアラムコが年間1,700万トン、SABICが6,200万トン
サウジアラムコは3月27日、サウジアラビア公共投資基金(the Public Investment Fund: PIF)からサウジアラビア基礎産業公社(Saudi Basic Industries Corporation :SABIC)の過半数株式70%を購入することで合意したと発表しました。これは、2,591億2500万サウジアラビア・リヤル(SAR)(一株当たり123.39リヤル)の非公開取引で、691億ドル(約7.6兆円)に相当します。残り30%の公開株式は含まれず、サウジアラムコはこれらの取得は計画していません。 この取引は、規制当局の承認を含む一定の取引完了条件に従っています。
リヤドを本拠地とするSABICは、34,000名の従業員を擁し、50ヶ国以上でグローバルな事業を展開しています。多様な事業部門を通じた2018年の連結生産量は7,500万トンで、純利益は57億ドル、年間売上高は450億ドル、総資産は850億ドルでした。
PIF総裁のヤシル・オスマン・アルルマイヤン閣下(H.E. Yasir Othman Al-Rumayyan)は、次のように述べています。「これは、サウジアラビア経済の柱である三者にとってウィン・ウィン・ウィンの取引であり、画期的な合意です。 PIFの長期投資戦略に多額の資金が調達されることとなり、サウジアラビアの産業分野と収益において一層の多様化が期待されます。 さらに、戦略的株主を迎えることはSABICとそのすべての株主に大きな付加価値を与えます。そして、世界のエネルギー市場で重要な役割を担うサウジアラムコは、その成長機会の創出に向けて、SABICの強力な機能を活用できるのです」
サウジアラムコ社長兼CEO アミン・ナセル(Amin Nasser)は 、次のように述べています。「この合意により、サウジアラムコの石油精製・石油化学製品事業の統合に向けたダウンストリーム事業成長戦略は大きく加速します。 SABICは、優れた労働力と化学品製造能力を備えた国際的企業です。 サウジアラムコは全社一丸となって、競争力を高めるためさらに強力で確固とした事業を展開し、世界的に増大するエネルギーと化学製品の需要に応えてまいります」
サウジアラムコのダウンストリーム部門シニア・バイスプレジデントであるアブドゥルアジーズ・アルジュデイミ(Abdulaziz Al-Judaimi )は、次のように述べています。 「当社のダウンストリーム戦略は、石油精製システムの開発と拡大、石油化学品生産との統合促進により販売経路を確立し、世界中のニーズに応えることに焦点を当てています。当社は、長期的価値につながる提携と企業買収を進め、原油から化学品までの画期的な技術を開発しています。 SABICは戦略的に適合し、石油需要において最も成長が著しい石油化学製品分野への継続的投資を支える強固な基盤となります」
サウジアラムコは、ダウンストリーム事業のポートフォリオ強化による成長促進を目指し、2030年までに世界規模の精製能力を日量490万バレルから日量800万〜1,000万バレルに引き上げ、そのうち日量200万~300万バレルを石油化学製品に転換します。このダウンストリーム事業ポートフォリオでは、大量のアラビア原油が消費される見込みであり、今回の株式取得はその長期的戦略に即したものです。