サウジアラムコ、Air Products社と共同でサウジアラビア初の燃料電池自動車用水素ステーションを開設

サウジアラムコは1月25日、燃料電池自動車向け水素を供給するサウジアラビア初の水素ステーションをAir Products社(APD)と共同で開設する契約を結んだことを発表しました。

今回の提携により、APDの技術的ノウハウや水素事業での経験と、サウジアラムコの石油業界における経験、設備、研究開発能力が一体化します。両社は、この新たな水素ステーションで供給される高純度の圧縮水素に適応した燃料電池自動車の実験車を導入します。 

この水素ステーションはAPDの水素供給技術SmartFuel®を採用し、車両に圧縮水素を注入します。本プロジェクトの実証段階で収集されるデータは、この新しい交通輸送技術を地域に応用するための評価において、貴重な情報になると見られます。サウジアラビア初の水素ステーションは、2019年第2四半期に開設される予定です。

「水素燃料電池は、輸送機関の電動化に向けた効果的な手段であり、僅か5分間の簡単な充填で長距離走行を実現します。燃料電池自動車の動力に、石油やガスから回収された水素を利用することは、環境に配慮した交通輸送に向けての石油の活用を拡大する絶好の機会です」と、サウジアラムコの最高技術責任者アハマッド O. アルコウェイター(Ahmad O. Al Khowaiter)は述べています。

APD のエグゼクティブ・バイスプレジデントのサミール・セルハン氏は、「サウジアラムコとまた新たな試みで協力し、炭化水素による持続可能な水素供給システムの構築と開発に向けて、サウジアラビアで燃料電池自動車の実証実験を行えることを光栄に思います。この事業は、サウジビジョン2030への我々の姿勢を改めて示すものです」 と、述べています。

水素ステーションは、 APDがダーラン・テクノ・バレー・サイエンス・パーク(Dhahran Techno Valley Science Park)に所有する世界有数のテクノロジーセンター内に設置される予定です。 

今回のプロジェクトの実験には、トヨタ自動車から燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」が提供されます。水素エネルギーへのトヨタの投資は20年以上にわたり、水素を利用した世界初の量産型燃料電池自動車「MIRAI」を2014年に発表しました。MIRAIは圧縮水素ガスで走行し、水のみを排出するゼロエミッション車です。空気から取り入れた酸素を燃料タンクの水素と化合させることで燃料電池が発電し、自動車に動力を供給します。トヨタはかねてより、水素による燃料電池技術がさまざまな車種に、持続可能なゼロエミッション・ソリューションを提供できる、と提言しています。